第十八話【足関節脱臼骨折】
『自分の失策で先輩達の夏を終わらせてしまった』
家に帰っても須網は泣き続けていた。
食事中も・入浴中も・寝る前も、ずっとその思いで苦しんだ。
部活もそれから休み、友人からの連絡も取らなかった。
2週間後に部活に復帰したが、夏の予選で犯した失策を引きずっていた。
練習中にもそれに囚われているように失策を連発。
打撃中も三振ばかりでただバットを振っているだけで球が見えていない。
走塁面では牽制アウトに盗塁失敗、塁を狙いすぎてタッチアウト。
気持ちを切り替えているはずだが行動と考えが共にならない。
『試合で挽回するしかない』
強く、強くそう思い過去の失敗を振り払おうとする1年生の姿。
その必死すぎる姿にチームメイトも何か嫌な予感がしたのではないだろうか。
練習時間が終わっても、下校時間が過ぎていても。
一人で素振りをして・遠投をして・走って。
その結果が怪我だった。
【足関節脱臼骨折】全治4週間との判断。
疲労が溜まっているにも関わらず体を酷使したのが原因。
だが順調にいけば秋の予選までには間に合うとの事。
友人達も『ゆっくり治せよ』と見舞いにも来てくれた。
焦りすぎていたかと自分で少し反省。
入院中はグラブを磨いて、テレビで甲子園の中継を観ていた。
『(先輩達の代わりに絶対甲子園に行く、それが恩返しなんだ・・・・・)』
この光景をしっかりと目に焼き付けて予選の思いを振り払った。
リハビリも順調で予定通り4週間で退院できた。
復帰早々は軽い練習でキャッチボールとジョギング。
須網も野球部に入部したときのように元気な顔に戻っていた。
日が経過するにつれて練習もみんなと同じようにしていった。
素振り・ベースランニング・守備練習、異常もなかった。
練習試合でもしっかりと球に当てることも出来てきた。
その結果を見込まれて予選では1番の遊撃手として使うとのこと。
バント技術も上がってセーフティバントの成功率が高くなってきたからだ。
『今度は大丈夫』と胸に抱き、それと同時に喜びを噛み締める。
また友人が『先輩達も応援に来るってさ』と一言。
それに対して『しっかりと良いところを見せないとな』と返事。
一時はどうなるかと思ったが期待の新人は元気な姿を見せ
スカウト陣も再び評価していた。