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第十話【半額但馬牛】

「やっぱり但馬牛が一番良いですわね、味がしっかりしていますし」




但馬牛とは兵庫県産の黒毛和種の和牛のこと。



食せば天下一品と言われ、そのまろやかさは他では味わうことの出来ない味。

神戸ビーフと言う愛称もあり外国人にも好かれる世界最高級和牛。






タイムセールスで半額となっているのは本当に有り難い。

通常なら他の一般的な牛肉の何倍もの値段で売られ少量だ。


この時間帯になったために大きな物でも通常値段で買うことが出来る。





では賞味期限はどうなっているか。

見てみると明日までと書いており、実質本日中に食べるのが一番旨味が出るようだ。

安くなるにもやはりそれなりの値段があるということだろう。





「(内緒で買うことにしましょう。みんな喜んでくれますわね)」





そう考えるとちょっと嬉しい。下の者は上の者に褒められたいものだから。

努力家で才能ある彼女もやはり人の子だと言うことだ。

しっかりとした子供心は持ち合わせている様子。







「1450円となります~袋をご利用でしょうか?」



「ええ、お願いします」





ビニール袋を持つのも何だか懐かしい。



自分からこうして買い物に行くことも少なく、この触り心地。

いくらでも品物が入りそうなこの袋。

学校の鞄と違って見た目はそうでもなさそうなのに丈夫だ。






1パックでも十分中身がギッシリと詰まっている。

これなら今夜もまた楽しく全員で食べることが出来そうだ。




ここで携帯電話を開いて時間を確認してみる。





午後8時。意外と考え事をしていたら時間は経過していたようだ。

帰る頃にはちょうどご飯の準備が始まるだろう。



折角買ってきた但馬牛を無駄にするわけにはいかないので自転車置き場へと向かった。






3時間まで無料なので料金は払う必要はない。











ゆっくり帰っても大丈夫だ、この時間帯なら十分間に合うだろう。

運悪く例え前にある信号機が全て赤になって待つことになっても。



時間の管理は得意だ。太陽デパートから自宅までそう時間はいらない。

学校の宿題・塾の宿題はとっくに済ませてあるし問題はない。






そうすると無意識に速度が落ちる。




『急がないと』と思うと危ないことは分かっていても足は動いてしまう。

『落ち着いて』と思うと危ないことを避けるため足は自動的に止まる。

要するに心の持ち方さえしっかりしていれば自ら事故を招くことはない。






角も少ないからトラックなどの大型自動車が来る心配もない。






(ピタッ)



言った直後に赤になってしまった。






麗華はこの間に念のためとして母に連絡を入れることにした。



『現在太陽デパートを出ました。ご飯を作るのは少し待ってくださいな』






絵文字の一つもない簡単な現状報告。

♪や☆などと言った文字を打ったことがないのも事実。

母の珠枝からはよくカエルの絵文字が使われたりするようだが。






しばらくして赤から青になり、通行可能に。

夜は仕事から帰る人が多いため気をつけなければいけない。


徒歩ならそれなり問題はないが自転車なのでよそ見は厳禁だ。






と言っても彼女がそんなことをするような人物ではないが。




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