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AとB

作者: せおぽん

私はゲームが苦手。

ヒゲオブラザーズの1面の最初のキノコも越えられないくらい。お兄ちゃんはとても優しい。


「ダメダメ。無闇にボタンを押したらダメだよ。Aボタンは、ジャンプだよ。ぴょんぴょん跳んだら危ないでしょ。ちゃんと周りを見ないといけないよ。」


お兄ちゃんは優しかったな。お兄ちゃん大好き。お兄ちゃんの優しい声が大好きだった。きっとずっと忘れない。


あれから何年経ったかな。お兄ちゃんに会えないのはさみしいな。


お婆ちゃんになった私は、ふと兄のことを思い出した。さてと、お買い物が終わったから、お家に帰らなきゃ。私は車に戻り、周りを見渡す。エンジンをかけサイドブレーキを解除した後、もう一度周りを見渡す。よし、大丈夫。


私はBボタンから足を離し、Aボタンをゆっくりと踏んだ。お兄ちゃん。ありがとう。教えてくれたこと、全部覚えてるよ。

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