73 国の街道5
ノルンはアリシアと馬車の御者だろう男性の方に歩いていき声をかける。
ノルン「会話の途中に失礼します。」
ノルンの声を聞き二人は会話を止めノルンの方に向き直りアリシアはノルンの少し後ろにヒストとアンナが居る事を確認する。
アリシア「構いませんよノルンさん。物資の確認もそろそろ終わりますので。」
ノルン「そうなんですね。気になったのですがダイキさんは物資の確認はしないんですか?」
アリシア「ダイキは事務作業やこういう物資や搬送する品物の確認等が苦手ですので今は私が代わりにしています。」
アリシアは苦笑を浮かべダイキはまったくと言うが何処か優しげな雰囲気を出している。
そのアリシアの様子と先程の言葉の中に今は、という発言が含まれて居る事にノルンはおやっ、と思いながらも口には出さないでいた。
ノルン「では馬車の護衛とベジリアでの依頼の件でよろしくお願いします。」
アリシア「えぇ、よろしくお願いします。馬車は私の障壁の魔術で守りますので魔獣が出たら討伐して下さい。所でモナはどうしましたか?」
モナがノルンの近くに居ない事に気付いていたので会話の切りの良い所で聞く事にした。
ノルン「モナはダイキさんに少し聞きたい事があるようなのでボクが挨拶に来ている間に聞いていますよ。」
アリシア「ダイキに聞きたい事ですか?ダイキは何を聞かれても困ってそうですね。」
アリシアの言葉に王女が自分達が召喚した勇者にそれで良いのかと言いたくなったが、パーティの仲間である故の遠慮の無さと信頼しているからこその物言いなのだと納得する。
そんな会話をしていると馬車の荷台からエルーシャとドンドが降りてその手にはロープが握られていたので荷台に積んだ木箱をロープで固定していたのだろう。
エルーシャ「おっ、ノルンじゃないか荷台の固定は済んだから直ぐに出発出来るぞ。」
ドンド「またんかい、出発する前にベジリアでの依頼の紙を受付からもらわないとじゃろうが。」
馬車の準備は終わり後は依頼の書類を受け取りに行くだけのようだ。
ノルン「エルーシャさんとドンドさん、今回もよろしくお願いします。」
エルーシャ「うん?あぁ、よろしくな。私としてはノルンと手合わせしてみたいが。」
ドンド「エルーシャお前は戦闘狂じゃ無いだろうが。あぁノルンよろしく頼む。」
エルーシャとドンドの二人が来て後はダイキさんとモナが来たら全員かと思っていたら大樹が何か考えながら此方に歩いて来ておりその後ろでモナが困ったようにオドオドしている。
その大樹の様子が気になったのかアリシアは近づいて声をかける。
アリシア「どうしましたダイキ?」
その声に気付いていないようで考えており後ろのモナが呼んでますよと声をかけられてからハッとしてアリシアを見る。
大樹「悪い悪いちょっと考え事をしててさぁ。」
ドンド「なんじゃと!何時も脳天気なダイキがか!?」
エルーシャ「おいおい今日は雨でも振るのかい?やめとくれよ今から馬車の護衛だってのに。」
余りの言い草にダイキは思わず酷くない!?、と叫ぶがアリシアはダイキの額に右手を添える。
アリシア「ふむ、熱は無いようですね。しかし考えごととは何か悩みでもあるのですか?」
大樹「いや俺だって考える事だってあるからね!余り無いだけで!」
馬車の準備出来たなら依頼の紙を取りに言ってくると言って大樹はギルドの方へ行き待って下さいとアリシアもついて行く。
ヒスト「ダイキが何か考えるねぇ。モナちゃんどんな事ダイキに聞いたや?」
アンナ「あ、そっかモナちゃんが何かダイキさんに聞きたい事あるって言ってましたね。」
残った勇者パーティの四人が好奇心の籠もった視線をモナに向けるがモナからすればそんな大した事を聞いていないので困った顔をする。
モナ「あの私が聞いた事は本当に大した事じゃ無いんです。何故かダイキさんは考え出しましたけど。」
ドンド「いやいや、確かにお嬢ちゃんにとって大したことじゃなくてもダイキからすれば何か考えさせられる事だったんじゃないか。」
アンナ「そうですよモナちゃん。私ではダイキさんが考えさせられる内容とはどんな事か思いつきませんね。」
ダイキに聞いた内容は一体どういう話か気になってモナに聞くが大した事は聞いていないと言ってモナはうぅ〜、と眉を下げる。
ノルン「まぁまぁ確かに気になりますけどモナが大した事無いって言ってますので無理に聞こうとしなくてもダイキさんに直接聞けば良いじゃ無いですか。」
モナが困っていたのでノルンがモナの前に移動してそう伝えるとモナはノルンの背中に隠れるように身を隠す。
確かに無理に聞くことでは無かったのでそうだなで済んでノルンの背中に隠れたモナに悪い事をしたと苦笑する。
アンナ「ごめんねモナちゃん。ただダイキさんが何を考えていたのか気になってね。」
アンナがそう言うとモナはノルンの背中から顔の半分をひょっこりと出してアンナを見る。
モナ「あの私もごめんなさい。でも本当に大した事を聞いた訳じゃ無いんです。」
そう言ってひょっこりと出した顔を引っ込めまたノルンの背中に隠れる。
それを見ていたノルンは本当モナは可愛いんだからと顔に出さず悶え他四人は思わず微笑んでいた。
大樹「依頼の紙持って来たけどモナはノルンさんの背中で何してんの?」
大樹が戻って来てモナがノルンの背中に居る事に頭に?を浮かべるが残っていた四人からは曖昧に笑うので気にしないことにした。
アリシア「では私とアンナとモナは馬車に乗り魔獣が出た場合馬車から支援をすると言う事でよろしいですか。」
アリシアはノルンとモナの二人に確認を行い頷くのを見て馬車に乗り出発する。




