72 国の街道4
こちらにぶんぶんと手を振る大樹を見てノルンは会釈しモナもノルンの真似をして小さく頭を下げる。
馬車を引く御者とアリシアが会話しており手に紙を持っているので荷台に入っている物資の確認でもしているのだろうと思いながらノルンは大樹に話しかける。
ノルン「こんにちわダイキさん。確認なんですがこの馬車を護衛しながらベジリアまで行くという事で間違いないですか?」
大樹「そうだぜ、じゃなくてそうです。」
何やら言いにくそうに言い直した大樹を見て首を傾げモナを見る。
見られたモナもえっ、何故今自分を見るのだろうと思ったがどうやらこの人なんか変だねと言いたげに自分を見ただけだと察しがついて苦笑しながら頷く。
ノルン「あの話しやすいように喋って貰えれば構わないのですが。」
大樹「そうか?いや~皆から敬語で話す事に慣れておけって言われてさ〜。でもやっぱ普段から言わないし慣れないんだよね。」
ノルン「なるほど。まぁボクとモナは気にしないので言いやすい方で構わないですよ。」
悪い悪いと頭をかきながらそう言う大樹をモナはじぃぃと見て少しうぅんと唸るが湧いた疑問を後回しにして大樹に挨拶する。
モナ「ダイキさん私はあまり約には立たないでしょうがよろしくお願いします。」
大樹「おぉモナよろしくな!それと前のバッファローの時みたいに離れるなよ心臓に悪いから。」
モナに挨拶を返しこの前は肝が冷えたと伝えるがモナはえっと、すみませんと言うのを見てバッファローの依頼の時には感じなかったモナとの心の距離を感じて静かに精神にダメージを受け引きつった顔をする。
馬車の方でノルンとモナが来たのを気付いたアンナとヒストが此方に来て引きつった顔をする大樹を心配するアンナと理由を察したヒストは茶化している。
アンナ「ノルンさん、モナちゃんよろしくお願いします。所でダイキさんはどうしたんですか?」
ヒスト「二人ともよろしゅうな。なんやダイキ敬語がおかしいって言われたんか。あぁいやモナが話す時ノルンの時みたいな笑顔じゃ無くて真顔だから心が傷ついたんやな。分かるわぁ子供から警戒されるのって悲しいわなぁ。」
大樹を茶化しながらチラリとモナを見る。
ヒストの言葉になるほどとアンナは納得して苦笑するがこれはモナの心境次第なので大樹を慰める事にした。
アンナ「ダイキさんモナちゃんの保護者はノルンさんなんですから信頼している人と合って日が浅い私達じゃ仕方無いですよ。でもこれから仲良くなれば良いんですよ。」
ねっモナちゃんと笑いかけられえ、はいよろしくお願いしますとモナがぎこちなく返す。
ノルン「ボクも皆さんがモナと仲良くしていただければと思っていますね。」
ノルンの言葉に任せろと答える大樹と笑顔ではいと頷くアンナをモナはじぃぃと見る。
大樹とアンナの二人をモナが見ている事にヒストが疑問に思うが口に出さずノルンに聞く。
ヒスト「そうやノルン、王族のアリシア様と一応ドンドとエルーシャにも挨拶しとかんや。」
ノルン「そうですね早めにしときましょうか。」
モナ「ねぇお姉ちゃんダイキさんに少し聞きたい事があるんだけど。」
モナの発言にうん?と大樹達三名は疑問を浮かべるがノルンは少し考えてから構わないと伝える。
ノルン「解ったボクが挨拶してくるからその間に聞いててね。」
アンナとヒストは疑問を浮かべながらもノルンとアリシアの方へ歩いて行く。
対して大樹は能天気に早速友達になる為の第一歩かと考えモナの質問を待つ。
モナ「すみませんダイキさんにとって勇者としての在り方について教えてくれませんか?」
大樹「......へっ?」
予想外のモナの質問に大樹は固まる。
大樹(えっ勇者としての在り方?いや在り方ってなんだよ、そんなの考えた事ねぇよ。)
頭の中がこんがらがるが年下の子の質問に答えられないのは流石に恥ずかしいので何とか言葉としてひねり出す。
大樹「あ、あー在り方ね。いや俺の場合勇者として召喚されたからなぁ。そ、それにスキルは使いやすいし膨大な魔力があるから魔術も強力なのを使えるし。」
モナ「そうなんですか。ですけどただ周りからそう言われるのと貴方自身が勇者だと言うのでは違うのではないですか?」
大樹「そ、そうかぁ。あんまり違わなくね。」
モナ「ダイキさんはそう思うんですね。変な事聞いてすみません。」
モナからの質問は終わりのようだが質問の意味が分からずモヤモヤするのを大樹はそのままには出来ずモナにどういう事か聞く。
大樹「モナはどうしてそんな事を聞いたんだ?」
モナ「その個人的な目標で自分がどう在りたいかを探す為に他の人の在り方を知ろうとしていまして。」
またモナから予想外の言葉が出てお、おぉと大樹は言って続きを聞く。
モナ「ダイキさんは勇者と名乗っています。ですが召喚され国の為に戦うのは辛い事や悲しい事を貴方は周りから身勝手に背負わされています。だから勇者としての心意気があるのかと思いまして。」
すみませんでしたと謝るモナを黙って見ていたが大樹は静かに片手で目元を覆ってふぅと息をはいてまたモナを見る。
大樹「俺そんな事考えた事無かったな。」
どうしようとモナはオドオドするが勇者としての在り方かと大樹は考え込む。




