70 国の街道2
やいのやいのとノルンに対しまくし立てていたシエラとシアンは言いたい事を一通り言い終えてはぁーはぁーと息切れしている呼吸を整える。
シエラ「貴女が討伐するものと思っていたのにまさかモナに一頭とはいえ対峙させるとは何を考えていたんですか。」
シアン「まぁ言いたい事は一通り言いましたし取り敢えず奥で話しませんか。」
取り敢えず落ち着いた二人を見て苦笑しながらノルンは保護者代わりのボクが出来ると判断したんだけどなと口に出さないが内心思う。
ギルドの奥に移動するのを見てモナはお姉ちゃんの依頼の話になるかなと三人の後ろをトコトコとついて行く。
ギルドの奥に行きシエラが話し始める。
シエラ「さてノルンさんが勇者パーティとしばらく同行して依頼を受けると聞きましたが確かノルンさんは国の街道を余り使っていない筈でしたね?」
ノルン「えぇ、街道を通るよりギルドの転移の部屋を使用した方が早いですから。」
シエラの問いかけに頷くノルン。
シエラ「確かに転移の方が早いですが誰でも使える訳ではありません。それに多くの物資を運ぶ上で整備された道の方がより多く運べます。しかしそれは魔獣が出ないという前提があります。」
シエラはノルンを見てこれがどういう事か分かりますねと問いかける。
ノルン「勇者パーティとしばらく同行して依頼を受けると解ってその話が出ると言う事は街道を使ってその周辺に魔獣が居ないか調べるという事ですか。」
ノルンの答えにコクリと頷きシエラは内容を付け加える。
シエラ「それに加え発見した魔獣の討伐と物資を運ぶ馬車の護衛も含まれます。勇者を召喚する以前は騎士団かギルドから実力が確かな者に依頼を出して居ましたが勇者パーティの皆さんが今それを担っています。」
なるほどそれで事前に説明する為に来たのだろうとノルンは目星を付ける。
ノルン「シエラさんが依頼と関係無くアクラのギルドに来たのはそれを伝える為ですか。」
シエラ「えぇ首都に行ってから説明してもグダグダになるでしょうから先に伝えた方が良いと判断しました。」
シエラの言葉を聞いてまだ何かあるのだろうかとノルンは疑問に思うが隣で聞いていたモナが先に疑問を聞く。
モナ「あのぉ、それって街道に魔獣がいたら討伐することや馬車がいれば護衛をすることはギルドの依頼とは関係無くしないといけないって事ですか?」
モナの疑問を聞いてノルンは思わずうわぁ、と声を出して苦い顔をする。
シエラ「えぇその通りです。ですが何も最初からそうだった訳では無くギルドからの依頼という体での報酬を勇者が断わってしまいまして。」
お人好しの勇者が依頼の報酬という体での金銭を断わってしまいそれが今に至るのかとノルンは溜め息をつく。
ノルン「なるほどスタークの町で何故勇者パーティがギルドの転移で来なかったのは依頼のついでに街道の魔獣が居ないかの調査及び馬車の護衛をしているからでしたか。」
シエラ「依頼に行くときは街道を使い帰る時にギルド支店の転移部屋を使って戻られます。ノルンさんの言いたい事は分かりますが本人達の負担に目を瞑れば助かっているのは確かです。」
本人達の負担という一番大事な事に目を瞑るなとノルンは思うが勇者パーティ達を思い出し本人達は特に気にしていないんだろうなと考える。
ノルンがなんとも言えない顔をしていると隣のモナがうぅんと言ってシエラに聞く。
モナ「今はそれで良くても何時か疲れが溜まって身体を壊すか破綻しませんか?」
シエラ「大丈夫ですモナ。そうなる前に以前のように騎士団かギルドの依頼を出せるように準備をしています。」
ノルン「いや準備しているなら戻せば良くないですか?」
シエラ「そういう訳もいかないんですよ。勇者は言ってしまえば王族が力を誇示するための手段です。その為王族の皆様は勇者が活躍出来るよう根回しをしています。」
王族は権威を取り戻すのに必死ですがとシエラは話すがノルンは流しチラリとモナを見る。
その街道に魔獣がでなければ良いがそんな保証等ある訳が無くある程度は戦えるようにはなったモナを心配する。
モナ自身危険が迫れば逃げる事を選択出来るが問題はモナの危険な時に自分が傍に居ないかも知れないという事。
街道に魔獣が出たとして魔獣の種族も数も分からないから乱戦になるだろうしそれでモナの傍を離れるだろう。
モナにバッファローと対峙させたのは一頭でありモナが突き飛ばされたとして自分がモナを受け止める自身があったからである。
ノルンがウンウンと唸っているのを聞いてモナはどうやら自分を心配してノルンは悩んでいるっぽいと分かりノルンに話す。
モナ「ねぇお姉ちゃんその街道で魔獣が出たら私はアリシア様の後ろに隠れた方が良いよね?」
モナの言葉を聞いてそういえばアリシアさん障壁の魔術使えたなと思い出す。
ノルン「うん、そうだね。そうしないと危ないね。」
シエラ「確かにモナには障壁の魔術が使えるアリシア様の近くが良いでしょう。では伝える事は終わったので首都に行きましょうか。」
シエラの言葉に二人は頷き転移部屋に入り首都へ転移する。




