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可変の天使  作者: 影薄


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69 国の街道

 朝日が登り雲ひとつ無い晴天の中アクラの町の宿屋から支度を整えたノルンとモナが出てきた。

ノルン「さぁ、気は乗らないけどまた勇者パーティの人達と依頼の同行だよモナ。」

モナ「お姉ちゃん気持ちは分かるけど優しい人達ではあるんだから。」

ノルン「流石に本人達の前では言わないよ。まぁモナがある程度は戦える事を解ってくれれば依頼の同行も無くなるだろうし。」

 町の道を歩いて会話をしている二人に前から男が慌てて駆け寄る。

 駆け寄ってきた男は元荒くれ者だったアレクであり二人を見て正確にはモナを見て胸を撫で下ろす。

 そんなアレクの様子に二人はキョトンと顔を見合わせた後モナが問いかける。

モナ「あのぉ、アレクさんどうしたんですか?」

アレク「あ、あぁ悪いいや何今ギルドで首都の幹部をしているお偉いさんがモナが無事かって騒いでいて聞けばモナ一人で一頭とは言えバッファローを討伐させたと聞いてな。だから確認に来たって訳だ。」

 そう言いながら胸を撫で下ろしているのでモナは不思議そうにアレクを見ていた。

 ノルンもだから慌てていたのかと納得するが目の前のアレクとモナはそれほど接点は無かった筈だけどと疑問に思うが先にアレクにそれが事実だと伝える。

ノルン「アレクさんその騒いでいる幹部は多分シエラさんだとは思いますが先にモナ一人でバッファローを討伐したのは事実ですよ。」

 ノルンの言葉にアレクは目を見開きモナを見て固まる。

 獰猛な水牛の魔獣を相手にこの子は眼前に立ち戦えたというのか。

 大の大人でも平然と殺される魔獣の脅威をその小さな身体で受け止めたという事実にアレクはモナを眩しそうに見る。

 アレクに薄汚れたガキと言われてもその通りだと言っていた小さな子供が。

 誰かに成れるわけが無く自分は自分にしか成れないと言っていた一ヶ月前を思い出しこの子は今自分の成りたい理想の自分の途中なのだろうと思うと一ヶ月前の誰かに嫉妬ばかりで燻っていた自分が恥ずかしくなる。

アレク「そうか、そうなんだな。すげぇな。」

 ポツリとそう呟くとそれを聞いたノルンはフフンと自慢気にしている。

ノルン「流石に一頭じゃないと危険ですけどタイマンであればモナはある程度は戦えますよ。」

 自慢げにしているノルンにそりゃぁ戦い方とかを教えている子が一ヶ月でバッファローを討伐出来たなら教えている側は嬉しいだろうよと口には出さないが内心思う。

アレク「そうか。まぁなんだ邪魔して悪かったな。あぁそうだギルドでもシアンが騒いでいると思うぞ。」

モナ「シアンさんがですか?はぁ分かりました有難うございます。」

 アレクがバツが悪そうに言ってモナがお礼をした後ノルンとモナはギルドに歩いて行く。

 その後姿を見ながらモナは自分を心配しているアレクを不思議そうに見ていた。

 アレクが胸を撫で下ろしていようがシアンが騒いでいると伝えてもモナは不思議そうにしている。

 まぁ仕方ないかとアレクは思い歩いていく二人を見て空を仰いだ。

 ノルンとモナがギルドに入るとシエラとシアンが主にノルンに詰め寄る。

シエラ「ノルンさん!モナにバッファローを討伐させたとはどういう了見ですか!下手すればいえ普通に死んでたかも知れないんですよ。」

シアン「三日前にモナちゃんがした事ってその事ですか!はっきり言って正気疑いますよ!」

 二人の剣幕にノルンは少し後ろに仰け反って説明する。

ノルン「ボクがモナなら一頭であれば討伐出来ると判断したからやらせたんですが。」

シエラ「貴女の基準は分かりませんがそもそも子供に魔獣を討伐させようとするのが間違いなんですよ!」

シアン「いやホントにモナちゃんが無事で良かったですよ!しかもよりによって獰猛な水牛が相手とか!」

ノルン「いや子供でも戦う意志があればある程度は出来ますよ。」

シエラ「そういう事を言っているのではありません!危険な事をさせるなと言っているのです!」

シアン「無事だから良かった事でしょうが!」

 やいのやいのとノルンにまくし立てている二人を見て時間掛かりそうだなとモナは思った。

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