68 魔族の玉座2
魔王から命令を受けた四天王は王国の首都を壊滅する為動き出し玉座の間から出て行く。
四天王が出て行くと魔王の身体から黒いモヤが出て来て歪な竜の顔を形どる。
?「クククッ、ようやく復讐の時が来た。」
歪な形をした竜の顔はニタリと笑みを浮かべ顔だけの竜はその首から下のモヤがまるで糸のように魔王の身体を縛り操る。
?「今代の魔王の身体を手に入れたのも僥倖だ。身体を乗っ取り精神を殺しもはや我の意志通りに動くただの操り人形と化した。」
ククッ、と笑い玉座の右隣を見てそこに誰かいるのか命令を飛ばす。
?「出てこい。貴様には首都とやらの偵察に行ってもらうぞ。」
直後黒い稲妻が走りそこの空間が裂け中から虚ろな目をした黒い竜の少年が出てくる。
?「五十年前に空から落ちてきたコイツを魔王が保護してくれたおかげで同じ竜である我が欺き支配の首輪をはめさせた十五年前を思い出すと笑いが止まらん!」
竜の少年が騙されて支配の首輪をはめ苦しみながら絶叫していた姿を思い出し笑い声を上げる。
そしてその歪な竜にとってもっとも愉快であった少年と魔王の精神を壊し殺した時の絶望の表情を恍惚とした笑みを浮かべ思い出す。
?「力はあれど甘ったれた魔王と半竜半人の魔族でもない何かの少年が絶望に顔を歪める姿は最高だった。」
歪な竜が笑っていたかと思うと急にその声色に怒りを滲ませる。
?「たった二人を壊すまでこの玉座に宿り力を蓄えていたが千年も掛かるとは我を殺した恨みは募るばかりだ。早く人間と魔族を阿鼻叫喚の地獄に叩き落としたいがあぁ忌々しい。」
怒りを滲ませ怨みつらみを呟きそれに呼応するようにモヤも激しく痙攣する。
?「そもそも、此の地は偉大な竜が支配する大地であったのにたかが人間と魔族が竜の通るだけで死んだ脆弱な者の敵討ち等とほざいては竜に喧嘩を売らずコソコソと逃げ隠れていればいいものを。」
本来であれば戦いにすら成らない戦力の差があったというのに歪な竜は自分を殺した相手とそれを呼び出した原因にとっくに死んでいるにも関わらず憎悪を抱く。
?「異世界の日本とやらから召喚された田中初とそいつを呼んだ奴隷商の娘!思い出しただけで怒りと憎しみが止まらん!」
世界を渡りその身にスキルを宿し人間も魔族も関係なく仲間を作り竜の同胞達を殺して回った怨敵の顔を苦痛に滲ませたかったと悔しがる。
しかしそれは千年前の事、生物の寿命には抗えず死んでいるだろうとは歪な竜も解っている。
だからこそ募った恨みを今の人間と魔族に向けている。
?「人間を皆殺しにしたら次は魔族だ。まずは王国を攻め滅ぼし民の前で王族の手足を一つずつ引き裂こう。」
王国で阿鼻叫喚の地獄絵図を妄想し竜の亡霊はほくそ笑む。




