67 魔族の玉座
魔族を統べる魔王の住む城の豪勢に彩られた廊下を四人の魔族が歩いていた。
筋骨隆々のデカくゴツい戦士、鎧をまとい大太刀を背中に担ぐ武士、幼い少年でありながら高い魔力を宿している魔術師、身体から生えているツタと植物を操る植物使い、彼らは魔王直属の配下で四天王と呼ばれている。
戦士「王国の勇者と戦ったがありゃぁスキルが強い程度だな。」
武士「ワシ等のように戦う為に鍛えていない世界から召喚されたのだ平和ボケしているようなやっこに負けるいわれはない。」
魔術師「わぁ凄い自身。それで負けたら声高く笑ってあげようか。」
植物使い「やめなさいよ。はぁ、どうしてアンタはいつもいつも煽るのよ。」
魔術師「そんなの僕が天才だからさ。若く万能の魔術を扱う強い魔術師がへりくだってどうすんのさ。」
戦士「ガッハッハッハ!、いいさ若けぇヤツは傲慢なものだろうが。まぁその内に取り返しの付かない失敗しそうだがな!」
魔術師「はっ!僕がそんなへまするかよ。」
武士「お前がへまする事等より魔王様からかけられるであろう命令が気がかりだ。」
武士の言葉を聞いて魔術師は言い返そうとしたが彼の言った魔王からの命令で顔を顰める。
他の二人の四天王も眉間にシワを寄せ唸る。
植物使い「魔王様はお変わりになられた。ほんの一五年前までは魔族の民達を憂い長く続く人間達との戦争を終わらせようと奔走していたとしていたというのに。」
戦士「それが今じゃ率先して人間達を殺して来いという始末だ。あのお優しかった魔王様が人間達を皆殺しにしようとしている。」
武士「一五年前に何か合った訳も無く急に変貌された。それまでに用意していた和平の為の書類も全て燃やし過激派の魔族達の肩を持つようになられた。」
魔術師「そもそも人間達を殺そうとしているのだって権力を持ったジジババ共なんていう老害じゃん。自分達は戦わず金で雇った傭兵崩れ達を向かわせてさ。」
植物使い「それだけ戦争で民も国も疲弊しているって事よ。そんな老害を罰する事も出来ずお金が無いから老害達の依頼を受けるしか無い。」
戦士「まったく魔族だとか人間だとかで戦争して民と国を犠牲にした所で得られるのなんざ何もありゃしないというのによ。」
四人揃って溜め息を吐く。
一五年前までは人間との戦争を終わらせようとしていた魔王様がまるで人が変わったように過激派の意見を取り入れるようになった。
一五年前に何か合ったかと考えを巡らせるが特に無くそもそも人間達をこの城の内部まで攻め込まれた事が無い為余計に謎が深まる。
しかしそれでも彼らは魔王に忠誠を誓った直属の四天王である為魔王の命令を聞き行動する。
そうしているうちに玉座の門まで来たので戦士と武士が門を開ける。
玉座に座るは漆黒の法衣を身にまとい悪魔を思わせる頭の左右に生えている角と悪鬼をかたどった仮面を被る魔王であった。
四天王は玉座の前にて頭を下げ畏まる。
それを見た魔王は静かに告げる。
魔王「目障りな勇者をまだ殺せていないのか。早く殺せ。人間達を皆殺しにしろ。」
戦士「魔王様!このまま戦争を続けても民達が疲弊するだけです。どうかお考えを変えてはくれませんか。」
魔王「くどいぞ。俺が殺せと言ったのだ、それを実行するのがお前達だろう。」
戦士が忠告しても取り付く暇も無く考えは変わらないみたいだ。
魔王「勇者が拠点にしているのは王国の首都であったな。お前達首都を壊滅してこい。」
取り付く暇のない魔王に四天王は項垂れるがそれでも命令をそむく訳にいかず動き出す。




