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可変の天使  作者: 影薄


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62 次の目標3

 モナが約束が叶わないかも知れないと不安そうな顔をしてノルンは村長の家でモナを説得した夜の時間を思い出す。

ノルン(モナは帰ってくるまで誰も死なないでねと言っていたけどそれは無理な話だと理解しているだろうね。ならモナの言っている小さい約束ってのは村長が言っていた皆で待っていることかな?)

 高齢な者達ばかりの村でモナが村に戻るのは何年立つか分からないからモナ自身誰も死なないなどありえないだろうとは考えている。

 それをノルンも理解しているためモナが言っている約束が村の皆でモナの帰りを待っていると村長が言っていたことを思い出す。

 ノルンはそっと瞼を閉じかつて見ていたモナのヤトの村での村人達との生活に思いを馳せる。

 モナがノルンのようになれるかななんて言っておじさんにちんちくりんなモナじゃ難しいんじゃ、なんて言われてほっぺを膨らませムームー言いながらポカポカ叩いて笑いながら悪かったって言うおじさんがいたな。

 おばさん達が作った細い人参や形の不揃いのじゃがいもで作った野菜のスープを固いパンと一緒に村人達に配膳しまわった後美味しいねと食べてはおばさん達からモナにはこんなのじゃなくてもっと良いものを食べさせたいと愚痴を言ってた。

 あぁ、村長の家で魔獣の図鑑に興味を持ち時間を忘れて読みふけっては村長から何か女の子らしい遊びをしてほしいのにそういうのにはモナは興味を持ってくれないと相談された事があったな。

 瞼を開け不安そうにしているモナを見てどう言えば良いか悩む。

 悩んでいるノルンを見てモナはやっぱり小さな約束が叶うほど世界は優しくは無いんだろうなと考える。

 残酷とまではいかないが世界が優しいとはモナは思っていない。

 優しい世界に捨て子等いないだろうし自らが産んだ子供を捨てることも無いだろう。

 でも、子供を捨てる親がいて捨てられ利用される子供がいる。

 それが村の外の普通なのだと理解している。

 それこそ村を出る前から分かっていた。

 少し視線を下げ一ヶ月と二週間前に村の近くの駆け出しの森でノルンが討伐した魔獣たちを思い出す。

モナ(お姉ちゃんが言っていた魔獣のどれか一体でも村に入られれば皆殺しにされていた。異常事態だとしてこれからは起こらないとは限らない。)

 村に戻る前にもし同じとはいえないが同レベルの異常事態が起きて皆殺しに合う可能性がある。 

 村の皆はモナを守ろうとするだろうがモナはどうせ死ぬなら村の皆と同じ墓に入りたい。

 だけど村に戻る前に皆が死んでしまっては?

 私の帰りを待ってくれている皆に会えないどころか同じ墓にも入れないだろう。

 そんな事を考えているとよしっと声が聞こえノルンが顔を上げているのでどうやら考えがまとまったらしい。

ノルン「モナが不安に思っているのはモナが村を出る前の前日にボクが討伐した魔獣達と同等の事がまた起きるんじゃ無いかと思ってるんだね?」

モナ「うん、だってこれから起こらないとは限らないし待っててくれると言っても魔獣に殺されることだってあるだろうし。」

ノルン「だから、早くと生き急いでいるんだね。でもね村の人達はモナにそんな思いをしてほしくはないんじゃないかな?」

モナ「分かっているよ。でも弱い私が立派になるには時間が掛かるその間に何かあるんじゃないかと思ってしまう。」

ノルン「モナ立派になるのに弱いも強いも関係なく時間が掛かるものだよ。」

 モナの言葉を聞いてやっぱりこの子はこの子なりに色々考えていることに微笑ましくなる。

 モナ自身が考え今のままで良いのかと疑問に思う事は大事だ。

 だけど今のモナに必要な時間はゆっくりと自分を見つめ直し次はどうするかと考える時間だ。

ノルン「モナは自分が弱いって言うけどね半分は合っているけど半分は間違っているんだよ。」

モナ「半分?どういう事?」

ノルン「確かにモナの身体は小さいね。体格では確かに弱いと言える。でもねモナはその体格でバッファローを討伐した。それは弱いと言えるのだろうか?」

モナ「でもバッファローの体重を利用しただけで私自身の力じゃないよ?」

ノルン「いいモナ強くなるとは己の弱さを受け入れて初めて強くなれる。強者とは弱者の中から生まれるもの。つまり弱さとは可能性なんだよ。」

モナ「弱いことが可能性?」

ノルン「誰だって最初は弱いもの。でもね誰かを守る為、大切な人を救う為自分の弱さに挫けながらも勇気をしめす人こそが強くなる。弱さを理由に逃げる者は弱いままだけど弱さを受け入れる事が出来る者が強者となる。」

 ノルンの言葉を興味深そうに聞くモナ。

 弱い事が可能性等と言われ困惑したが話を聞いていれば守りたい救いたいと思う意志と自分の弱さを受け入れる事が出来るものこそがノルンの言う可能性だと理解する。

ノルン「モナは自分が弱いと言ったけどそれでいいんだよ。だって自分の弱さを受け入れているからね。後はモナがどうなりたいかだけどこれからの依頼は勇者パーティの人達と同行するから他の人達の在り方を知る事を次の目標にしようか。」

モナ「他の人達の在り方を知って私がどう在りたいかを考えるんだね。」

ノルン「そうだよ、自分が探す答えは何時だって自分の中にある。約束が叶わないかもと不安に思って足が竦んでもそうなるとは分からない。ならさモナ自身が在りたい姿を具体的に想像出来たならその不安は消えるだろうね。だってモナが在りたい姿になれるよう努力するから不安に思う暇なんて無いだろうね。」

 ノルンの結論に確かにそうだとモナは思う。

 モナが不安に思うのはバッファローを一人で討伐出来たから考える余裕が増えたから。

 では在りたい姿に成れるよう努力しているならそんな不安を考える余裕なんて無い。

 そんな事をしている暇があるなら在りたい姿になる為に知識を蓄え鍛錬をするだろう。

モナ「うん、私の次の目標が決まったね。」

 漠然とした不安はまだあるもののモナはノルンに笑いかける。

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