61 次の目標2
宿屋でノルンに特訓の成果を褒めちぎられ身体を縮こませていたモナが次はどうしようかとノルンに尋ねる。
モナ「お姉ちゃん私一人でバッファローを一人で討伐出来たけど次は何を目指すか考えないといけないね。」
ノルン「バッファローを討伐した時も言ったけど別に生き急がなくて良いんだよ?ゆっくりでも確実に成長すれば良いんだから。」
ノルンの言葉に納得はしているがそれでも早く成長したいとモナの顔に出ていた。
何故モナが早く成長したいと思っているその理由に目星がついているノルンは微笑ましくもモナを説得する。
ノルン「モナ早くヤトの村の人達に立派になった自分の姿を見せてあげたいと思っているだろうけど、言ってもまだ一ヶ月位しか経っていないんだよ?モナは村の外に出たんだから外の世界を見て回らないと村の人達はどう思うかな?」
ノルンの言葉にピクリと目元を震わせ図星を付かれているが村の住民達を思い出しボソボソと言い訳を零す。
モナ「分かってはいるよ。村の皆は私に村の外の世界を知ってほしいって。でも皆高齢だから何時死んでいてもおかしくないんだ。もし村に戻った時一体生きているのはどの位だと思うと不安になってくるんだよ。」
モナが本当に不安に思って居る事を隠して言い訳をしている姿に優しく頭を撫でるノルン。
何時死んでいてもおかしくない事は村に住んでいた時から知っているし村に戻った時知っている顔が減っている事に対して覚悟が出来なければ村を出る事は出来なかっただろう。
モナの不安が何かノルンは推測出来るが無理に言わせる訳にはいかない。
本人からソレを喋るという事はそれだけ信頼されている証なのだから。
ノルン「そうだねぇ、でも不安に思ってばかりじゃどうしようもないからモナの言う通り次の目標を考えようか。」
モナの不安な暗い顔を見て話を切り替えるノルンは目標は何が良いか思案する。
ノルン「バッファローの討伐はある程度の魔獣を一人でも倒せるようになる為だったから次はモナの成りたいものを考えようかな?」
モナはノルンの言う自分の成りたいものを言われ考え込む。
ノルン「何でも良いんだよ料理人に成りたいとか何かお店を開きたいとか或いはこのまま冒険者を続けるとか?モナが成りたいものモナがしてみたいものを言ってごらん?」
モナ「それなら村の発展。」
ノルン「うんモナ、それ以外にしようか。」
真顔で即答するモナに苦笑するがそれだけこの子にとって村が大事という事なのを再確認する。
いや、村と言うよりは村の住民がこの子にとって全員が血が繋がなくても育ての親なのだから向けている感情が重くなっても仕方がない。
苦笑しているノルンに複雑そうにモナが問いかける。
モナ「私が成りたいものよりお姉ちゃんにとって大事な事があるから何時までも甘えてられないんだよ。」
ノルン「別に甘えて良いんだけどね。ボクの大事な事は気長に探すよ。」
モナ「そういう訳にはいかないでしょ。お姉ちゃんの探している人はお姉ちゃんの旦那さんなんでしょ?」
ノルン「有難うねモナ。でも大丈夫、死んでいない事はボクとあの人の繋がりで分かるしあの人は強いから滅多な事では遅れを取らないから。」
モナ「生死が分かる繋がりって何?」
死んでいないから気長に探すと答えるノルンに対し生死が分かる繋がりとは一体何なのだろうかと疑問に思うモナ。
ノルン「というかボクが人を探しているのを知っているのモナとヤトの村の人達しかいないし、そもそもその事をギルドでは話していないし。」
モナ「えっ、そうなの?お姉ちゃんの強さでギルドに貢献すれば手伝ってくれると思うけど?」
ノルン「いいモナ人はよくあの人は良い人だと言うけれど実際の所は自分にとって都合の良い人と言う事なんだ。ギルドに貢献した所でボクが居なくなれば困るようになる場合その恨みはボクに向くんだ。理不尽に思うよねでも人間ってのはそういうものなんだ。」
モナ「言いたい事は分かるよでも全員がそうでも無いよ。それに理不尽な事は何時も急に訪れるものじゃないの?相手を信用出来なくても実績で人探しを手伝ってくれる人も出てくるかもだし。」
ノルン「そうだねぇ、もしモナが誰かを信用しないといけなくてそれにボクとヤトの村の人達が入っていない中誰かを信用出来る?」
ノルンの問いにうぐっと返答に困るモナ。
ギルドの職員達や幹部のシエラさんやゲンサムさんが自分に良くしてくれて居るのは自分が子供で小柄な体型だからなのを知っている。
立場がどうとかでは無く本人達はそのつもりは無いだろうがいわばペットのような物だとモナは思っており実際はその通りな為信用出来るかと言われれば信用出来ない。
その為言葉に詰まるモナを見てノルンが優しく頭を撫でる。
ノルン「ボクがその状態だったのが四.五年前だったって事だよ。モナに合わなかったらヤトの村の人達も信用出来たか怪しいしね。」
そう言ってこの話は終わりと言外に告げるノルンを見てノルンは自分をそれだけ心許していたと知りならこの不安を打ち明けても良いのかなと葛藤するがノルンの優しい笑顔を見てポツリ小さい声でと呟く。
モナ「ねぇ小さい約束が叶わない事ってあるよね。」
ノルン「小さい大きい関係なく叶わない約束はまぁあるね。」
モナがポツリと呟き不安な事を話すと分かりノルンはモナを正面から向き合う。
モナの不安それは村の住民達と村に帰っての再開が出来ないかも知れない事。
村の村長と交わした小さい再開の約束が叶わないかも知れないこと。




