6 夜の会話
村長の家の居間にてノルンとモナは椅子に座る
村長「まずは、ノルン君薬草の採取ありがとう」
村長はそう言いながら薬草を受け取りノルンに銅貨を渡す。
ノルン「はい、依頼料を受け取りました」
ノルンはそう言いながらポーチから出した書類を渡し村長に依頼達成のサインを書いてもらう。
村長「次は魔獣達の件じゃな」
村長は険しい顔をしながら森に出た魔獣の件について話し始める。
村長「森に出た魔獣達は、件の勇者が取り逃がした魔族の配下だとすれば説明がつくが一概に決めつける事も出来ない」
魔獣は魔族が創り出した配下であるが魔族が捨てた魔獣が繁殖して数を増やしている為に勇者と戦った魔族の配下である証拠もない。その事に村長とノルンとモナは難しい顔をして思考を巡らせる
そんな中モナが難しい顔で言葉を発する。
モナ「でも、今まで居なかった魔獣が森に出たのと、その勇者が召喚の儀で来たのが一年位前ならその勇者との戦い位しか原因ないと思うけど」
その言葉に村長とノルンは苦笑しながらモナをたしなめる
ノルン「モナ、確かにそうかもだけど確かな確証も無いからそう言わないの」
村長「確かに勇者が来てからだと考えれば説明がつくが一概に勇者の失態ではないな」
そう言われたモナは少し考えを巡らせた後言葉を発する。
モナ「じゃぁ問題は勇者じゃなくて勇者を勝手に召喚した王国の上の人?」
モナは幼いと言えど一人の人間が全て完璧にこなせる事等あり得ない事位は分かっているそれ故に勇者を召喚しておきながら勇者のサポートをこなせていない上層部の問題に気がついた。
村長「じゃろうな、上に立つ程しがらみが増え人の足を引っ張り自分は甘い蜜を啜ろうとする。」
そう言う村長にノルンは言葉を発する。
ノルン「村長、やっぱり貴方は只の村人では」
そう言うノルンに村長は目線を向けるが無言で何も答えずモナに疑問を問いかける。
村長「モナよ、なぜ王国の上の人は勇者を召喚していながら勇者に対する補助が万全じゃないのじゃろうな?」
そう言われたモナは困惑した。モナにとって辺境の村人である自分に王国の上層部の考え等分かるはず等無いのだから。それでもモナは自分なりに考えた事を言う。
モナ「え〜と、上の人にとって勇者の召喚は不本意だった位しか無いんじゃ」
村長とノルンはこの子はやはりと考えながらモナに対し村長は言う。
村長「そうじゃな、補助が万全に出来無いとか言い訳等、幾らでも出来るしかし配下を取り逃がた事は勇者に責任を押し付けるじゃろうな。」
村長は幼い子供なら勇者の補助が出来ない位上層部が疲弊していると考える所を都合が悪いからと考えるモナに嘆息する。
村長(やはりこの子は賢い、まともな教育等日々の生活の為に今まで受けておらずとも独力でこの程度とは云え考えるに至るとは)
人間の醜さを見続けた村長にとって村人が大好きでありながらも幼いながら何時も村の為に考え何か出来ないか考えるモナは本当に可愛いくてしかだない。
だが勇者を召喚した王国の上層部は不本意でありながら勇者を使い潰し自分達にとって都合の良い傀儡にしようとしている事等想像に難くない、そんな悪意渦巻く村の外にこの子を出して良いのかと、モナを村の外に出す決心をしていた村長はこれまでに幾度なく繰り返した思考を再度考えていたがノルンはモナにある言葉を投げかける。
ノルン「ねえモナ村を出てみない」
ピリッとした空気が流れた。