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可変の天使  作者: 影薄


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59 勇者と同行の依頼9

 荒野から帰路についている途中大樹はモナに話しかけていた。

大樹「なぁモナはバッファローに対峙して怖くなかったのか?下手したら死んでたかもしれないだろう。」

モナ「怖かったですよ。でも何時かは私一人でも生きていかないといけませんから。」

大樹「いやぁ、理由になってるのか?」

 モナの返答に困ったように周りを見渡し他のパーティの皆もふむ、と考えている。

 それならば保護者代わりをしているノルンに聞いたほうが良いかと問いかける。

大樹「あのさ、ノルン..さんがモナにして貰う事が一人でバッファローの討伐とかちょっと酷だったんじゃないか?」

ノルン「確かに普通ならただの無茶振りでした。しかしモナの強みがあれば出来るとボクが判断しましたので。」

大樹「モナの強みって何だ?」

 ノルンの言うモナの強みという言葉に首を傾げモナを見る。

 一応年齢を報告書で知ってはいたが一目見れば同年代より明らかに小柄な体型で魔獣を討伐する事など自殺行為にしか見えない子供だ。

 見るからに戦えない子供だというのにこの子は先程バッファローを討伐している。

 討伐しているのだからノルンの言う強みというのがあるのが分かるがそれが何か大樹には分からないでいた。

 パーティの仲間の顔を見るが難しい顔で首を横に振りモナの強みが大樹同様分からないでいた。

 しかしアリシアは何か納得したように会話に混ざる。

アリシア「モナの強みですか。状況や武器が違えばどうなるかと考えるその頭でしょうか?」

ノルン「それも合っていますが一番の強みは相手を観察する洞察力ですね。」

 ノルンの言葉にえっ、それって強いのか?と大樹が疑問に思い思わず抗議する。

大樹「いや、相手を観察した所で倒せなくちゃ意味ねーじゃん。」

ノルン「しかし無闇矢鱈に攻撃した所でただ消耗するだけです。それにモナが討伐するのを見ていたでしょう。バッファローがモナを上に突き上げたからバッファロー自身の重さを利用し首を貫いた所を。」

大樹「いや上に突き上げなかったらどうしてたんだよ?そうなるって分からないじゃん。」

 大樹の疑問にノルンは少し考えモナっ、と言ってモナはノルンが何を言うよう促している事に察しがついて疑問に答える。

モナ「あのダイキさん。私が後ろに飛んだのは衝撃を流す為でしたがバッファローはそのまま前に突き飛ばす事は無かったと思います。」

大樹「えっ?何でだよ?そんな根拠無いだろう。なのに何でそう言えるんだ。」

モナ「獰猛なバッファローが進路上に邪魔な物が有ったら苛立つと思います。私は小柄ですから突き飛ばすのではなく上に突き上げた方が邪魔無く走り回り今度は皆さんの方に向かったと思います。」

 本来ならそれで死んでもおかしくない状況を淡々と説明しているモナに対し心配になっている大樹だった。

 子供がそんな事淡々と言わないでほしい。

 自分だって元の世界じゃまだ大人では無いが自分の事を子供とも思っていない。

 自分の思う子供の姿は夕方まで公園で遊び周り夜になってもテレビを見てはしゃぎ疲れて寝るのが思い描く子供だというのにモナからはそんな子供の無邪気さが足りないと思う。

 大樹同様にモナが心配になっている仲間も約二名ほどがいたが黙って見守っている。

アリシア「なるほど小柄だから上に突き上げられると判断しての行動ですか。」

モナ「はい、大柄ならそのまま突き倒し足で踏んだ方が早いように小柄なら上に突き上げた方が早いとそう思いまして。」

ノルン「結果的にモナの予想通りにバッファローはモナを上に突き上げた。しかしその考えを実行に移せるその胆力もまたモナの強みと言えますね。」

 モナの説明にアリシアは納得したが少し考えノルンにある事を提案する。

アリシア「ふむ、ノルンさんどうでしょうしばらく私達と同行して依頼をこなしませんか?」

ノルン「同行するのは今回だけと思っていたんですが。」

 アリシアの提案に表情は変わらないがあまり乗り気では無い事が伺える。

 何よりモナの特訓の成果が出たのだからさっきの称賛ではノルンはまだ足りず早く宿屋に戻ってモナを褒めて上げたいのだ。

アリシア「貴女の実力は分かりましたが今日合ったばかりとはいえモナを心配している者がパーティ内に居ますので。」

 アリシアの言葉に大樹とアンナは分かりやすくビクッとしてヒストが細い目をモナに向ける。

ノルン「まぁモナが可愛いのは認めますけど。どうしようかモナ?」

 ノルンの問いにモナは思考する。

 ノルンがモナを尊重して同行するかモナが決めて良いと言外で言っているのは分かるがだからといってノルンの立場を考えるべきだろう。

 ノルンはモナと同行するまで基本的に一人で依頼をこなしていたのなら本来は同行する気はないのだろう。

 しかしギルドでの嫉妬や妬みがノルンに少なからず向いているのだから本人が気にしていなくても味方となる人が必要だろう。

 同行して依頼をこなしノルンの実力をこの人達は認めているのならきっとノルンの味方になってくれるのではないか。

 そう考えモナは結論を出した。 

モナ「お姉ちゃん私の特訓も一段落済んだんだし依頼に同行して貰って良いんじゃない。」

ノルン「モナがそう言うなら。分かりましたしばらくよろしくお願いします。」

 ノルンの言葉の後にモナもよろしくお願いしますと言って勇者パーティはそれぞれがよろしくと伝えていた。

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