58 勇者と同行の依頼8
二人の会話を唖然として聞いていた勇者パーティの中でアンナがハッとして駆け寄る。
アンナ「モナちゃん!怪我はない!?ヒールかけるからじっとしてて!」
幾ら衝撃を後ろに飛んで流したとはいえ子供に魔獣の突進が直撃した為癒しの魔力を持つアンナは心配してヒールをかけようとするがモナ本人からやんわりと断られる。
モナ「大丈夫ですアンナさん。お姉ちゃんから貰ったワンドにヒールの魔術が組み込まれていますから自分で出来ます。」
アンナ「そうなの?でもそのワンドって確かお高い物だからなるべく大切にしたほうが良いんじゃないかな?私がヒールすればすぐだよ。」
モナ「いえ余りワンドのヒールを使った事がないので練習がてらと思いまして。」
アンナの後ろに他の勇者パーティ達が歩いて来てモナと死体となったバッファローを見比べて考え込んでいる中大樹はモナが平気そうなのでホッとしていた。
大樹「そっか大丈夫なら良いんだけどよ。今日あったばっかでも子供が死ぬ所なんて見たくないから怪我無くて良かった。」
モナ「すみませんでした。骨が軋んで痛いだけで怪我は無いですよ。」
大樹「骨が軋んでいるとか駄目なヤツじゃん!アンナ頼んだ!」
アンナ「癒しの光自愛の風慈悲の祈りをもってかの物を癒せ.ヒール!」
さらっと骨が軋んでいると言うモナに大樹とアンナはギョッとして大樹がツッコミを入れアンナがヒールをかける。
大丈夫なのにとボソッと呟くモナに対し二人はイヤイヤイヤと首を横に振り否定する。
大樹「骨が軋んでいんだよ!早く治さないとヤバいヤツだって!」
アンナ「後回しにして良いものじゃないよ!ワンドの練習は今度でも良いから!」
骨が軋むどころか最悪死んでいた可能性もあるというのに平然としているモナの事を先程の戦闘以上に心配になってきている二人の横からアリシアがノルンに問いかける。
アリシア「ノルンさんモナは何かスキルを所持しているのでしょうか?」
ノルン「スキルを持っていないですよ。そもそも普通の村娘が持って居たら賊とかに狙われますよ。」
アリシア「えぇ分かっています、ですがスキルを所持していないと説明出来ないと思いまして。」
ノルン「バッファローを討伐したのは紛れもなくモナの実力です。小柄な体型であろうと仕留める方法を考え実践したのですから。」
アリシア(その方が異常だと思うのですが。)
ノルンの言葉にふむと考え込んでモナを見る。
アリシアはノルンを王族側の味方に出来ないかと画策していたが先程のモナの戦闘を見てこの子も引き込めないかと思考する。
依頼前に大樹に魔獣の特徴を伝えあまつさえ魔獣の図鑑を暗記していると言っていたのに加え先程のバッファローの討伐は本来ならありえないだろう。
幾ら武器が良くても子供がバッファローの黒い毛を斬り裂く事は出来ない。
単純に力が足りず走り周り突進してくるのを恐れて振った武器は当たらない。
力は足りず経験は疎かならばただ振り回すだけで武器を扱いきれる事など出来はしない。
アリシア(モナは恐怖を感じながらそれでも自分より大きいバッファローを見ていた。そして討伐した後状況と武器が良かったからと言えるその謙虚さは味方にほしいですね。)
バッファローがもう1頭いればモナは轢き殺されていただろう、武器が良くなければ壊れ突き飛ばされ死んでいただろう。
ただ討伐しただけでは無く他の状況だったらと考えられるその思考を持つ少女を引き込めないかと悩む。
アリシアが何やら考え込んでいるのをノルンは訝しんで見ていた。
ノルン「取り敢えず依頼を達成しましたので町に戻りましょうか?」
ノルンの言葉にそれもそうだと他の勇者パーティ達は顔を上げ帰路につく。




