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可変の天使  作者: 影薄


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51 勇者と同行の依頼2

 ノルンが勇者パーティの同行を認めたのでシエラは依頼の書類を取り出し説明をする。

シエラ「では依頼の確認ですが。依頼者はスタークの町の町長で内容は町の近くの荒野で走り回るバッファロー十五頭の討伐です。」

ノルン「スタークですか。畜産を生業にしている町でしたね。」

シエラ「えぇ、気性の荒いバッファローが町の近くを走り回るせいで家畜にストレスが溜まるので品質と生産性が落ちるのを止めたい為討伐を依頼されたそうです。」

 畜産で生業を立てている為家畜が怯えストレスが掛かると商品の品質が落ちていき続いていくと生産性も下がってしまうのでスタークの町にとって死活問題になる。

ノルン「ではバッファローの死体はスタークの町が買い取るという事で良いんですね?」

シエラ「はい、ルルリラの港町と同じように討伐した魔獣の死体はその町が買い取る事になっています。」

 バッファローの角や蹄や皮は良い素材になるが食料としては肉は筋肉質で固く筋張って食べづらく身体が大きいのでその分量もある。

 処理しようとしても十五頭も討伐すればその量を処理しきれ無いだろうからルルリラと同じで買い取ってくれるのは有り難い。

ノルン「バッファローって加工した挽き肉とかなら美味しいですけど、そのままは肉が固いですから買い取って貰えるなら良かったです。」

シエラ「あちら側も処理しきれないからと放置されるよりは買い取って自分達が肉を加工した方が利益は出ると分かってますから。」

ノルン「魔獣の死体を処理せず放置する冒険者がいますからね。オークとかの脂が乗ってる魔獣とかは放置せずに食べるのがアレなんですよね。」

 ゴブリン等の明らかに不味い魔獣や今回のバッファローのように加工すれば食べられる魔獣を討伐したがその死体を放置する冒険者がいる事がギルドの悩みの種の一つである。

 しかもオーク等の脂が乗っている魔獣の死体は討伐した冒険者達が食べるので不味い肉だけ捨て置いている事は美味しい物だけ選んでいる事が分かるのでそれも嫌らしい。

シエラ「その問題はどうするか検討中です。まぁ契約の魔術の更新で死体を捨て置いた場合に罰則が出るようになると思いますが。」

 ギルドの幹部として魔獣を討伐した後まで契約の魔術は行き届かないがそれは仕方ないと考えている。

 魔獣の死体を他の動物が食べるなら問題は無いが不味い肉は流石に動物も食べない。

 だから今、契約の魔術を開発した魔術師に依頼を出して更新の研究をして貰っている。

シエラ「それは後で解決するでしょう。さて討伐に数日は掛かると此方は判断していますが、ノルンさんは何日で討伐出来ますか?」

ノルン「数時間で終わると思いますよ。」

 数日は掛かると予想していたのに数時間で終わると何の気無しにそう答えるノルンに真顔で確認を取る。

シエラ「先のシーサーペントも数日は掛かると予想していましたがノルンさんは数時間で仕留めました。今回のバッファローも同じと考えてよろしいですね?」

ノルン「えぇ大丈夫です。それと勇者パーティと何処で合流するかについてですけど。」

シエラ「それは依頼主の町長の屋敷で良いでしょう。私から勇者パーティに伝えておきます。」

 お願いしますとノルンは良い確認が終わったので二人は席を立ち待っているモナの方に歩いていく。

 ギルドの酒場の椅子にちょこんと座り小さい足をぷらぷらと前へ後ろへと動かしているモナが二人が話し終わったらしく此方に来ているので席を立ちトコトコと歩いていく。

モナ「話が終わったんだね。お姉ちゃんの次の依頼はどんなの?」

ノルン「次の依頼は畜産の町スタークって所でバッファローの討伐だよ。」

 微笑ましく話す二人を見た後シエラはモナの両頬をこね回す。

シエラ「ふむ、ほっぺの肉付きが良くなっていますね。さぁモナもっと食べてほっぺをモチモチさせるのです。」

ノルン「モナに会う度それするのいい加減に辞めてくれません?」

シエラ「何を言っているんですか。ほっぺがモチモチしてきたかちゃんと確認を取らないといけない事でしょう?」

 シエラの行いに苦言を言うが本人は何食わない顔で言うのでこの人はと難しい顔をする。

 されている方のモナは会う度頬をこね回される事に慣れたのであはは、と苦笑して受け入れている。

ノルン「そうそう、モナ次の依頼では勇者パーティが同行する事になったよ。」

モナ「勇者パーティ?何で顔も知らない人達と同行するの?」

 そうだよねと内心思いながらチラリとシエラを見た後溜め息を付きながら答える。

ノルン「何かギルドの方でそう決まったみたいなんだよね。」

シエラ「ノルンさんは何時も通りに依頼をこなすだけで問題はないでしょう。それに貴女達も噂の勇者の事を知れて損は無いと思います。」

 その噂はどちらかというと悪い方が多いのだけれど言葉に出してもせんない事なので曖昧に笑って誤魔化す。

シエラ「では私はこれで失礼します。モナサンドイッチ美味しかったですよ。」

 そう言ってモナの両頬から手を離し少し口角を上げる。

モナ「それは良かったです。何時も有難うございます。」

 ペコリとお辞儀をするモナについつい撫でようとして仕事に戻らないと思い持ち堪える。

シエラ「二人とも失礼しました。」

 そう言ってシエラはギルド支店の奥の転移の部屋に入り首都に戻る。

 ノルン「まだ夜まで時間があるし何時もの公園で木剣で練習しようか。」

モナ「うん、そうだねお姉ちゃん。」

 二人は何時もの寂れた公園で日が暮れるまで木剣で打ち合いをしていた。

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