5 採取依頼の達成
村人達と魔獣の死体の回収を全て済ませる頃には日が傾き空は夕方に染め上げ星がきらめき始めた
村長の家に向かうノルンとモナは歩きながら会話に花を咲かせていた。
ノルン「ただの薬草採取だったのに魔獣が出て大変な事になってきたね。」
モナ「でも定期的に薬草採取に来てくれるお姉ちゃんがいたから被害はなかったんだよだから、皆を守ってくれてありがとうお姉ちゃん」
そう言いながらノルンに笑顔で抱きつくモナと微笑みながらモナの頭を撫でるノルン。
採取や納品の依頼は冒険者達にとって地味な依頼としてあまり好まれてはいないが冒険者ではない村人や町の人間にとってはただの採取ですら魔獣に遭遇する危険性がある限り常に命懸けで死ぬ可能性がある。ただの薬草ですら傷薬を作るのに欠かせない為常に採取の依頼が来ている。だからこそヤトの村の近くにある駆け出しの森は魔獣が出ない安全な採取場所として知られていた。
しかしその安全だったはずの採取場所に魔獣が出た事が問題となる。それはその場所に今まで居なかった筈の魔獣が現れる可能性があるからだ。
ノルン「村長に依頼された薬草を渡したら明日には早く近くのギルド支店に報告しないと」
モナ「その為に証拠になる素材の一部を切り分けたからね」
ノルンに抱きつくながらモナはノルンが仕留めた魔獣達の危険性に思考を巡らせる。
モナ(ビックベアはその巨体とワイバーンを殴り殺せる怪力、ブラッドボアは仕留めた獲物の返り血で赤黒く染め上げた獰猛な牙を持つ、シャドーウルフは影に潜み寝静まった夜に獲物を屠り昼間は姿を現さないほど知能が高い、モンスターワームは土壌を作り替え地上の生き物を丸呑みして岩をも溶かす消化液で獲物を溶かす、ヴェノムビーは10体で行動し30cmの大きさで肉体を蝕み腐らせる毒針で刺し生きたまま貪り食らう)
モナは魔獣の図鑑を読んだ記憶とノルンが来た時に話すして貰う実体験を照らし合わせ森に居た魔獣達の脅威をノルンや村人達よりも正確に判断していた。
モナ(本当に皆楽観的なんだから)
モナは齢12と幼いがそれでも大好きな村人達の為に何か出来ないか常日頃から考えていた。だが何か特産品でも出来ないか考えてもこの村に来てもらはなければ話しにならずこの村に居続けて貰う理由等あるわけがない。
モナ(魔獣達の死体を見たけど全部ノルンお姉ちゃんが急所の一撃で仕留めてあった。)
魔獣の脅威を知っていればそれがどれほど難しい事か幼い彼女でも分かっていた。
モナ(やっぱりお姉ちゃんがこの村に居てくれればきっと)
モナはノルンと話しながらそんな淡い期待を考えて居たら村長の家に着いた
ノルン「村長、依頼された薬草を持ってきました」
そう言いながらノルンとモナは村長の家に入る。