38 番外 薔薇の乙女
エルゲニア王国の首都に薔薇の庭園を作りそこを拠点として冒険者の活動をしているSランクパーティであるローズガーデンの五人のメンバーが庭園の中に設置した椅子に座りテーブルの上に置いたティーカップに注がれた紅茶を嗜んでいるが全員の顔は気分が良いとは決して言えない程に不服そうにしていた。テーブルに置かれたクッキーやマカロン等のお菓子や庭園の色とりどりの薔薇を見て楽しむ余裕が今の彼女達には無かった。
五人の中で赤い髪をツインテールにした少女が甲高い声で喚き出した
?「なぁ〜んで五人いる私達よりノルンの方が依頼をこなしてんのよ!おかしいでしょ!」
?「イチカちゃん落ち着いて、ほら私達の依頼は討伐じゃなくて生態系の調査とかの面倒なものばかりを選んだから討伐を主にしているノルンの方が数が多くなるのは仕方ないよ。」
イチカ「煩いわねコハル!ギルド長から話が来た時ノルンより依頼をこなすって私達決めたじゃない!ノルンが関わって無かったらこんな面倒くさい事しないわよ!」
イチカの言葉に他のメンバーは顔を顰めイチカを宥めていたピンク髪を三つ編みにしたコハルが溜め息をつく、やいのやいのと喚いているイチカを無視してコハルは白い髪をポニーテールにしているユイに話しかける。
コハル「ねぇユイちゃんどう思う、ノルンが討伐だけじゃなくて幾つか生態系についての依頼をこなした事を。」
ユイ「うん、その事をギルドの人達に聞いたんだけどその依頼のほとんどがモナって子がしたそうなんだ。ノルンが渡した魔道具のカメラで生き物を撮ってギルドの人達が纏めたそうだよ。」
ユイの発言に難しい顔をした薄い桃色のミディアムヘアのミサキが割り込む。
ミサキ「魔獣の討伐はノルンがするのは分かるんだけどさ、生態系を把握出来るまで写真を撮ったって事はその子魔獣に襲われかねない危険の中でも行動出来てるんだよね。子供が。」
コハル「魔獣に怯えずカメラで撮る度胸があると、でも戦えない子供が魔獣に襲われれば簡単に死んじゃうのによくノルンは平気でいられるね。」
ユイ「なんかノルンがモナを鍛えているって聞いたから、それも特訓の一環じゃないの?アユミはどう思う?」
ユイが金髪をウルフカットにしているアユミに話しかける。
アユミ「う〜ん、その子が隠れるのが上手いとかじゃない?そもそもそのモナって子何処の子?」
ユイ「聞いた所一ヶ月前にノルンが連れてきたらしいけどそこまで詳しくは聞いてないな。」
アユミ「まぁ良いか、それよりどうする?ノルンが関わっていたから私達も依頼を受けてるけど結局はノルンの方が依頼こなしてるし。」
ミサキ「そこは切り替えていくしかないでしょ、ていうかイチカいい加減煩い。」
やいのやいのと喚いていたイチカの頭に拳骨を落とし黙らせるミサキとやっと静かになったと他三人は思う。拳骨をくらい頭を押さえうめき声を上げながら抗議の目をミサキに向ける。
イチカ「ちょっと痛いじゃないの、私はこのパーティのリーダーなのよ。」
ミサキ「仮にもリーダーなら何時までも喚いていないでこれからどうするかとか建設的な会話をしようしてくれない?」
イチカ「ふん、どうするかなんてノルンに勝つまで続けるわよ。何よりスキルで理想の見た目に変わった私達と素で美人なノルンなんて私は認めないわ!」
言い放つイチカに他四人は異世界に転移した日を思い出す。気づいたら見知らぬ土地におり混乱している中本能で自分の体に何か宿った事を気付き、宿ったモノがどういうモノでどのような効果があるか勝手に頭の中に流れ込んできた。
宿ったモノはスキルでありそのスキルの名は身体変化一度きり発動するスキルでありその効果は自分の望んだ姿に身体を作り変える事。身体を作り変える為元になった姿に戻るには時間を巻き戻すしか戻れない。
しかし、彼女達五人は自分の見た目にコンプレックスを強く抱いていた為迷いなくそのスキルを発動した。そして自分と同じ境遇の者が自然と集まったのがローズガーデンである。
いわば、彼女達がノルンに向けている感情は嫉妬と妬みであり強いライバル意識を持っているのもノルンに勝っている所を見つけて自分の心の平穏を保とうとしてるだけなのだ。
イチカ「そのモナって子がノルンより私達に懐けば流石にノルンも悔しがるでしょ!」
この五人がこれ程対抗意識があるのはノルンにも原因があり、ノルンはそもそもこの五人に対し余り相手にしていなかった。何やら嫉妬と妬みを向けられているなら関わらないほうが良いと流していたがその対応が余計に五人の琴線に触れた。
イチカ「ノルンが今日ギルド本部に来るって解ってるからギルドに行くわよ!」
イチカの言葉に全員が席を立つ。




