37 番外 王国の勇者
エルゲニア王国の王室で書類を見ながら唸る少年が居た。彼の名前は天海大樹、勇者召喚の儀で異世界からこの世界に召喚された勇者である。
その彼が唸りながら見ているのは冒険者ギルドの活動記録であり生態系の調査及びに魔獣の人的被害とその対応が書かれていた。
召喚されて一年は過ぎ何度か魔族との戦闘を繰り返し撃退しているが配下の魔獣達までには手が回らず取り逃がしてしまいそれが問題になっていた所を最近Sランクになったとある冒険者とSランクのパーティであるローズガーデンが対処しておりその事に彼は頭を悩ませていた。
大樹「うぐぐ、俺の失態だけどそれでもこんな簡単になんとか出来る戦力があるとかヘコむなぁ。」
勇者として召喚された際自分に発現しているスキルを聞き平凡だった男子高校生は異世界に来たのだと舞い上がっていた。しかも聞く所によると他にも転移者やら転生者もちらほら居るらしく異世界の生活水準は現代日本並みの為彼は不自由無く暮らせていた。
召喚した王族の頼みを聞きながら勇者として人の為にと戦い信頼できる仲間も出来た。だが、魔獣を取り逃がし生態系が崩れた失態は言い訳など出来る訳も無く責任を感じていた矢先にギルドが対処したのだが大樹はある事が気になっていた。
大樹「それにしてもこのノルンって人はこの世界の人だって書いてあるけどそんなに強いのになんで前のランクはBって書いてあるんだ?」
そんな実力があるのなら最初からS ランクなのでは?と疑問に思うが頭の片隅に追いやり他の気になる点を考えていた。
大樹「ローズガーデンは転移者の五人のパーティかぁ。いや、その五人の達成した依頼よりノルンって人の方が依頼こなしてるじゃん。」
五人のパーティより依頼をこなすノルンに大樹は興味が湧いてきた。大樹は思春期真っ盛りな為強くて何より美人な女性と書いていた事が気になりつつもどんな人かと考えていた。
大樹が考えているとコンコンと部屋にノックされた後にガチャっと長い金髪と豪勢なドレスを着た女性が入ってきた。
大樹「アリシア俺の失態の件はもういいのか?」
部屋に入ってきたのはエルゲニア王国の第一王女であるアリシア・グレイス・エルゲニアであり召喚した大樹の後ろ盾と生活の為の金銭を彼女が管理している。そして失態の件で他の王族と貴族達から責められていた。
アリシア「えぇ今回の件は冒険者ギルドで解決した為被害は少なく、その御礼を私達勇者パーティですると言う事で話が纏まりました。」
大樹「そっか。じゃぁギルドの為に働く時間が作らないといけないか。」
大樹が仕方ないとそう思っているがアリシアは何処か納得して居なかった。
アリシア「Sランクのパーティはどれも有名ですが、ノルンという方は少なくとも私は初めて聞きました。これ程の実力でしかもこの世界の住人とあらば私達が知るべき情報です。しかし、情報は流れてきていないのを考えると知っていながらギルドは黙っていた事になります。」
少し怒りを滲ませながらもギルドとはあまり揉め事になりたくない為不詳ながら受け入れている。
大樹はそんな空気を察せずに会話する。
大樹「だけどさ、ギルドで働いていればそのノルンって人に会えるだろうしその時に話して見ればいいじゃないか。」
そういう事では無いのだけれどとアリシアは思うが口には出さず苦笑で留めていた。
アリシア「これからの事を皆さんと話し合いましょうか。ダイキ」
大樹「あぁそうだなアンナとエルーシャとドンドとヒストに伝えないとな!」
そう言って二人は部屋を出た。




