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可変の天使  作者: 影薄


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32 ギルドの上層部8

ゲンサム「ま、まぁノルンが本当に被害を出さずに依頼達成出来るなら良いんじゃないかしら?」

ノルンが上等だと強気な表情をしており、それに対し達成出来れば良いとゲンサムは告げる。

ゲンサム「話はまとまったし私とシエラちゃんはモナちゃんと自己紹介したけど3人はまだしてないからしときなさいよ。」

トリス「なんで幹部の俺達がガキに自己紹介しなきゃなんないんだよ。」

クロイ「い、良いんじゃないですか、べ、別に減るものでも無いんですから。」

ゲンサムの言葉にトリスは苦言を言うがクロイが宥めモナに向き合い自己紹介をする。

クロイ「少し遅いですが、は、始めましてモナさん私はクロイ・デモルクと言います。」

モナ「えっ、あっはい、始めましてモナです。」

話し掛けてきたクロイに少し遅れてモナも言う。

そんな様子を見ていたグレゴルがモナに静かに話しかける。

グレゴル「ふむ、モナだったか俺の名前はグレゴル・ファルゴンと言う。」

トリス「いや、アンタ普通に自己紹介すんのかよ!」

普通に自己紹介したグレゴルにトリスはツッコミを入れしないであろうと思っていた人物が自己紹介して他の幹部は驚く。

トリス「俺だけしないわけもいかなくなったじゃないか。おい、ガキ俺はトリス・ボルトナってんだ。覚えとけよ。」

仕方が無いと自己紹介をしたトリスにモナはえっと、と困惑する。

モナ「よ、よろしくお願いしますグレゴルさんとトリスさん。」

困惑しながらもそう言うモナを見て何も無い村で育った割には礼儀が良いじゃないかとトリスは思いながらもこんなガキに入れ込むノルンの正気を疑う。その横でシエラがモナに質問をする。

シエラ「率直に聞きますモナ、ビックベアが出た当時の人的被害と森の損害について答えて下さい。」

ノルン「いやそれ、ボクに聞いたほうが早いですよね。」

シエラ「証拠を用意しない人は黙って下さい。今はモナに聞いています。」

シエラの言葉に言い返せずグッと言葉に詰まる。そんなノルンを不思議そうに眺めてモナは質問に答える。

モナ「被害も何もお姉ちゃんが討伐したから何もなかったですよ。」

モナの言葉にシエラはあり得ないと驚きながら次の言葉を待つが質問に答えたモナは首を傾げシエラはモナが質問で聞いたことしか話さなかった事に驚く。

シエラ(ワイバーンを殴り殺せるビックベアを討伐したというのはそれだけでも相当な偉業であるはずなのにこの子は喜々として話さない。いや、何故この子の表情から感情が読み取れないのですか?まるで仮面のような貼り付けた顔のような。)

シエラはモナの顔から感情が読み取れない事に困惑した。子供の頬を無遠慮に捏ね回すシエラにとって子供の表情から感情を読み取るのは造作も無い事であったが、眼の前に居るモナの顔からは浮かべている表情しか分からない。

シエラ「では聞き方を変えます。人が死んでいないんですね。」

シエラの言葉にモナの顔が暗くなる。やはり被害は合ったのかとシエラが思ったがモナの返答に思考が止まる。

モナ「お姉ちゃんのおかげで誰も死んでいないですよ。ただ、ちょっとした大怪我で村の誰かが死ぬ事は珍しくは無いですけど。」

暗い顔で苦くそう言うモナに他の幹部達がなんて事を聞いているんだと視線で訴えるがシエラ自身死がそんな身近なものだと思っていなかったのでモナの答えに返答しかなねているとノルンがモナを気遣う。

ノルン「モナ、辛いなら無理しないで良いんだからね。」

ノルンの言葉にモナは笑顔で返す。

モナ「大丈夫だよお姉ちゃん、死んだ皆の顔と声は覚えているから。だけど、大好きな人が死んだ時のグチャグチャの感情は慣れないけどね。」

そんな感情慣れてたまるかとモナ以外は思ったが、モナは続ける。

モナ「村の皆が教えてくれたんだ。死んでも誰かが覚えていればその人の中で生き続けると、だから私が覚えている限り死んだ大好きな皆は私の中で生き続けてる筈だから。」

少し嬉しそうにそして優しくそう言うモナにノルンは微笑みながら頭を撫でる。

そして質問したシエラは思っているに以上にモナの置かれていた状況が悪いのだと結論付けた。

シエラ「モナの発言は分かりました。が、ノルンさんの事では無くモナが学び遊ぶ必要がある事が分かりました。」

シエラの言葉にノルンは何を言い出すのかと呆れシエラに言う。

ノルン「シエラさん、何を言い出すのかと思ったらモナはボクが面倒を見ているんだよ。学ぶ機会も遊ぶ機会も疎かにするわけ無いじゃないか。」

シエラ「そう言いますがギルドの依頼をこなす為に子供の負担を増やすとでも、子供は子供らしく学び友達と遊んでいれば良いんです。」

ノルン「モナにはその友達と成れる同年代も居なかったんですけどね。」

シエラの言葉に静かに切れながらもシエラの言い分には同意していた。

シエラ「でしたらモナは学区に入るべきでありませんか。子供が大切な人の死で涙を流すなど何度も有って良いはずがありません。」

段々と暑くなっているシエラにゲンサムがストップをかけるように宥める。

ゲンサム「シエラちゃんストップ、それを決めるのは本人自身よ。モナちゃんがノルンと同行すると言うのならそれを尊重するしかないわ。」

ゲンサムの言葉にシエラはモナに視線を向けるがモナはノルンの方を向いて言う。

モナ「その学区?よりお姉ちゃんと一緒に居たいかな。」

モナの言葉にノルンは顔をほころばせシエラは表情を強張らせる。

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