29 ギルドの上層部5
ゲンサムに抱き抱えられているモナは混乱しながらも目の前の人が半分は心配しながらもモナの事を探るような目をしている事に気付きながら困惑した顔をノルンに向けた。
モナ「えっと、お姉ちゃんこの人は?」
モナの言葉にノルンはハッとして説明する。
ノルン「うん、この人はギルドの幹部の一人でゲンサム・ゴリアートさんていうの。」
なかなかキャラが濃い人を見てモナは改めてゲンサムを見る。鋼の肉体と自負するだけあるムキムキのマッチョの体に赤い髪を角切りにしてオールバックにしており顔は口紅を付けややメイクをしている。改めてみても濃い人だなとモナは思うが口には出さず自己紹介をする。
モナ「えっと、始めましてモナといいます。」
モナは当たり障りないよう気を付けたがゲンサムはそんなモナに質問する。
ゲンサム「ええ、始めまして。ねぇモナちゃんは何時ノルンと知り合ったの?私がノルンに色々聞いても逸らされてノルンの話は書類位しか知らないのよ。酷いでしょ!だから、アナタから聞きたいのよ。」
そう聞いてくるゲンサムにモナはにこやかな笑顔の裏に相手を見定める大人の感情を感じ取る。
モナ(お姉ちゃんとお爺ちゃんが何か真剣に話してる時に感じていた大人の感情だ。顔は笑顔だけど相手を探る感じの目をしてる。)
そんな事を考えている事をおくびもださずモナはノルンに目線を向ける。ノルンはモナに苦笑を返し言外で質問に答えたほうが早いと伝える。
モナ「お姉ちゃんと知り合ったのは5年前です。多分お姉ちゃんが冒険者に成りたて位だと思います。それから定期的に村に来てくれました。」
あら、とゲンサムは目を見開くこの年の子供なら慕っている人の凄い所をまるで自分の事のように喜々として話すだろう。だがモナが言ったのは質問に対する必要最低限しか言っておらずそれ以上の事を聞くにはこちらから聞かねば答える気は無い様子にゲンサムは認識を改める。
ゲンサム(最低限の事しか言わないわね。しかも事実だけを言ってる感じだし、だからといって子供に問い詰める事でも無いわね。)
もし馬鹿正直に話すなら只のノルンに憧れている現実を知らない馬鹿な子供だと思ったが、淡々と事実だけを言うモナにゲンサムは薄っすらと笑みを浮かべる。
ゲンサム「モナちゃん貴方とは良いお友達に成れそうね。」
ノルン「いや、幹部の方とモナが会う理由は特に無いでしょう。」
何やらゲンサムがモナに意味深な笑顔を向けるのでノルンは保護者としてモナを背中にゲンサムと距離を取らせる。
ゲンサム「酷いわ!ただモナちゃんと仲良くなりたいだけなのに!」
疑わしい目をゲンサムに向けるノルンとハンカチを噛んで嘆くゲンサムを見てモナは先程の探る目をゲンサムがしておらずただ嘆いている事にモナは気づいた。
モナ「お姉ちゃん、本当に私と仲良くなりたいだけかもしれないよ。」
ノルン「モナ、口ではそう言っても本当か分からないものだよ。」
モナ「でもあの人の目には軽蔑も侮辱もないよ?」
えっとノルンとゲンサムは零すが続けてモナは言葉を発する。
モナ「だって目を見れば分かるよ。見下している人の目は見慣れているから。」
そんな事を笑顔で言うモナに対しノルンはこんな事を言わせてしまう事に顔を暗くする。
対してゲンサムは自分の認識がそもそもの前提が間違っている事に気が付いた。
ゲンサム(この子はヤトの村の子供、それは知っていた。だけどそれしか分からなかった。)
子供としか分からなかったから自分の物差しで決めていたがあんな何も無い所で育った子供に歪んだ所が無いだろうか?そんな訳はない、劣悪な環境で育った子供は何処か歪んでいる。モナを見て余りに普通過ぎてその事を頭から無意識に除外していた。
ゲンサム(なるほど、この子私が探りを入れた事も気が付いていたのね。)
だからこそ、先程の質問に対する最低限の答えだと気付く。それと同時に泣きたくなるほど悲しい気持ちが押し寄せる。
ゲンサム(この子は村では愛されていた。そうは聞いている。だけど本当にそうならノルン以外の冒険者には何時もそういう目を向けられていたという事を意味する。)
あんな何も無い村に行きたがる者等居るはずが無く例外のノルンが居なければこの子が村の外に出る事が無かったのは想像に難く無い。
ゲンサム(傍から見れば本当に普通な子供だけど、それ自体が異常なのね)
ゲンサムはモナの異常に気は付いたがそれには特に何も言うつもりはなかった。




