23 番外 荒くれ者悩む
荒くれ者(クソ、酒を飲んでも気分が晴れねぇ)
夜宿屋のベッドに腰掛けた荒くれ者は昼間のノルンに絡んだ時の事ばかり頭に浮かぶ。
正確にはノルンでは無くモナの言葉が頭に浮かんではそれを振り払おうとしてもまた思い出す程にこびりついて離れなかった。
荒くれ者(なんであのガキ自分からあんな事平然と言えんだよ。)
モナが自分から薄汚いガキと言った事に対して荒くれ者は自分がモナぐらいの年の頃を思い出す。
荒くれ者(俺があのガキ位の時は冒険者として大成するって信じて疑わなかってのに。)
普通に育ち冒険者として大成すると夢見てた青臭い自分を思い出し今の自分の堕落ぶりに顔を顰める。あの頃夢見てた自分はこんなのじゃない、ノルンのように強くそして魔獣を颯爽と討伐出来るのを夢見てたじゃないか。ただノルンの実力を妬んで何で俺は強くなれないんだと不満ばかり垂れ低級の魔獣の討伐みたいな簡単な依頼をこなし胡座をかいて惰性に過ごす情けない自分に嫌気が指すが、モナの呆れた顔を何度も思い出す。
荒くれ者(あのガキ呆れていたが別にそれだけだった、あの目に侮辱も嘲笑う事も無く俺を見てた。)
落ちぶれた自分を見てモナは特に嘲笑う事も馬鹿にする事も侮辱する事無く見ていた。過去の自分が落ちぶれた冒険者を見れば間違いなく馬鹿にするだろう、だけどモナにはそれが無く純粋に呆れていた。そもそも普通に育った子供はある程度現実を知るまでは自分なら出来ると失敗せず成功すると信じるある種の傲慢なものを持っている。しかし、それがないモナは捨て子かと思うがそれもすぐに否定する。珍しくもない捨て子は厄介者として迫害され居場所が無く悪い大人にとって都合の良い鴨として利用される。ならモナは一体何だと荒くれ者は悩み寝付けずにいた。
荒くれ者「朝になっちまった。」
夜明けの太陽を見て一晩寝ずにいた荒くれ者は朝食を済ませ町をぶらつきモナを探す。ギルドにノルンとモナが入るのを見た後入口で入ろうかとして足が竦む。
荒くれ者(何で俺は怖気づくんだよ。)
モナが怖いのかと思うが違うと否定して自分の本音に気が付く。モナが現実を受け入れていながら悲観して無いのに対し、無いものねだりばかりで現実を受け入れられない情けない自分を直視するのが怖い事に気付く。
荒くれ者(俺は、こんなにも情けなかったのか。)
ギルドの入口で入りずらそうにしながら時間が過ぎノルンとモナの話し声が聞こえる。
二人はギルドを出ていくのを荒くれ者は複雑そうに見ていたがモナがチラリとこちらを見て何事も無く歩いていくのを見ながら立ち竦んで見ていた。




