16 ギルド支店の喧騒4
そう叫ぶ荒くれ者を見てもノルンは表情を崩さず取り合わないので余計に受付嬢は呆れと哀れみが増した。モナはそんな様子を見て首を傾げながら疑問の籠もった目を荒くれ者に向けていた。
モナ「どうして、嘘だと言うんですか?」
モナから向けられるただ純粋な疑問に荒くれ者はうっと言葉に詰まる。認めてしまえば只の妬みによる八つ当たりだという事を突きつけられ自分の惨めさを確認させられる。しかし、モナからはそんな自分に哀れみや嘲笑等無くノルンが討伐をしたという事実を信じない事に対しての純粋な疑問しか向けられていない事に荒くれ者は言い淀む。
荒くれ者「う、うるせぇお前みたいなガキには関係ねぇんだよ!それに、薄汚いガキがギルドに入ってくんじゃねぇよ!」
その言葉に表情を崩さなかったノルンは顔を険しくする。モナは荒くれ者に言われた事に対して気にも留めていない為自分の疑問よりもまずは目の前の人を知ろうと顔に笑顔を貼り付け観察した。
荒くれ者は目の前のモナが自分を見ている事に対しまともな教育を受けておらずなんの教養も持っていないと自分を棚に上げ馬鹿にする。
荒くれ者「おいおい、保護者がこんな礼儀知らずのガキをほおっておいていいのかよ!」
ノルン「礼儀知らずは貴方でしょう。ボクを貶す為だけにモナに関わらないでくれませんか。」
荒くれ者「自分の教育が行き通っていないからって俺に指図すんじゃねぇ!」
荒くれ者の言葉に顔を顰めるがモナがヤトの村で日々の生活の為に教育等受けれる筈もない事を話しても荒くれ者が理解するどころかこれ幸いとまたまくし立てるだろうとノルンは解っていた。
どうしようかとノルンが考えていたが笑顔を貼り付けたモナが荒くれ者の観察が終わり貼り付けた笑顔から呆れた顔をした。
モナ「つまり貴方はお姉ちゃんが羨ましいという訳ですか。」
モナの言葉に荒くれ者は黙り周りの冒険者達もモナを静かにモナを睨んだ。荒くれ者は怒りで顔を赤くしてモナを睨むがモナから向けられているのが呆れしかない事に気付いておらずノルンはモナを守れるように剣の柄に手を添える。
モナ「羨ましいんですよね?確かな実力を持っているお姉ちゃんが、強くて綺麗で自分だってそうなりたいと思ったんじゃないですか?冒険者になって格好良く活躍する自分を妄想したりしたんじゃないですか?」
一つ一つ確認するようにモナが言う、声は決して大きくは無いがギルドの中で静かに響く。
モナ「でも、現実はそうじゃないからだからお姉ちゃんが羨ましいんじゃないですか?上には上がいてただ眺めてるしか出来ない事が歯がゆいから、自分に無いものを持ってる人達に嫉妬する。だけど、それって虚しいだけだと思いますよ。」
モナの言葉を聞いて荒くれ者達は押し黙る。
モナ「無いものねだりしても有りもしない才能は芽吹きませんよ。嫉妬して相手を傷つけても落ちるのは自分の評価ですよ。どんなに頑張った所で必ず努力が報われる訳はないですが、あなた達は胸を張って努力したと言えますか?」
モナの言葉が荒くれ者達の心を抉る。努力した所でと諦めている上でノルンを妬んでいたため言い返す言葉が思いつかない。野次を飛ばしていた飲んだくれている冒険者達も諦観し腐っている為、モナの言葉に聞き固唾を飲んで様子を見守りギルドのの中は重苦しい空気が流れていた。




