アイスドラゴンの牙 1
自分のマックススピードで書いているのですが…ここにきて首が痛いです…(´;ω;`)ウゥゥ
ドリル剣が誕生してから、約十ヶ月が過ぎたある日のこと。
王立図書館の静寂を破って、扉が勢いよく開いた。
「ゼンイチ! いたか!」
ローガンだった。いつもは落ち着いた足取りの彼が、今日は息を切らして駆け込んでくる。
「どうしたの、そんなに慌てて」
「北の漁村に、アイスドラゴンの死骸が流れ着いたらしい! 頭だけだったがな。牙と鱗が、来月王都のオークションにかけられるって話だ!」
「……マジで!?」
ゼンイチは勢いよく立ち上がり、拳を握りしめて叫んだ。
「ヤッターッ!!」
その声に、図書館の司書たちが一斉に顔をしかめるが、当の本人は気にも留めない。
「ただな……」ローガンは眉をひそめ、声を落とす。
「問題がある。関係者に確認したんだが、ここ数年は王の誕生一千年に向けた贈答品の準備が進められていてな。希少素材は貴族どもが根こそぎ買い占めてるらしい」
「……え、でも。国王の一千歳の誕生日って……まだ百年以上先じゃ?」
「そうだ。だが希少素材ってのは、数年に一度しか出回らない。欲しい時に手に入る保証なんてない。百年待っても出ないことだってあるんだ」
ローガンは肩をすくめて笑った。
「そういう意味じゃ、お前は運がいいぜ」
ゼンイチは小さく頷き、表情を引き締めた。
「とりあえず……予算がどれだけあるか、確認してきます」
「私も行きますね」
横にいたティアがすっと立ち上がる。
そのまま二人はゼンイチの家に立ち寄り、棚にしまっていた通帳を手に銀行へ向かった。
窓口で記帳をお願いすると、通帳を持った職員は奥の部屋に消えていった。
しばらくして、職員が目を丸くしながら戻ってくる。前回と同じ反応だ。
「……いや、もうちょっとポーカーフェイスできないもんかな」
ゼンイチは呆れたように呟いた。
職員から通帳を受け取ったゼンイチは、その場でページを開き——
「――うおっ……!」
思わず声が漏れそうになる。額に汗が滲むほどの金額が記されていた。
「……ゼンイチさん、落ち着いてください」
ティアが苦笑しつつ、職員に声をかけた。
「打ち合わせ用の個室をお借りできますか?」
通帳を握りしめたゼンイチは、キョロキョロと周囲を見回しながらティアの後に続いていく。
案内された個室で扉が閉まると、ティアはふっと笑みを漏らした。
「ここなら大丈夫です。どうぞ、見せてください」
ゼンイチは無言で通帳を差し出す。
【通帳の記録】
【入金】2800/10/23 金195枚
【入金】2800/11/28 金3000枚
【入金】2800/12/31 金1000枚
【入金】2801/03/31 金3000枚
【入金】2801/06/30 金5000枚
【入金】2801/12/31 金5500枚
【入金】2802/05/28 金3000枚
【入金】2802/06/20 金3800枚
【入金】2802/06/29 金5200枚
【入金】2802/08/20 金3000枚
【入金】2802/09/20 金3900枚
【入金】2802/12/30 金5000枚
【入金】2803/02/29 金3000枚
ティアは通帳を受け取ると、小さな手帳と鉛筆を取り出し、記載された日付と金額を一つひとつ確認しながらメモを取り始めた。
「ふむ……販売時期と金額からすると、おそらくこうですね」
【入金】2800/10/23 金195枚 :特許登録
【入金】2800/11/28 金3000枚:へ石 売
【入金】2800/12/31 金1000枚:特許料
【入金】2801/03/31 金3000枚:へ石 売
【入金】2801/06/30 金5000枚:特許料
【入金】2801/12/31 金5500枚:特許料
【入金】2802/05/28 金3000枚:へ石 売
【入金】2802/06/20 金3800枚:氷石・温石 売
【入金】2802/06/29 金5200枚:特許料
【入金】2802/08/20 金3000枚:へ石 売
【入金】2802/09/20 金3900枚:氷石・温石 売
【入金】2802/12/30 金5000枚:特許料
【入金】2803/02/29 金3000枚:へ石 売
「というかゼンイチさん、売上報告書って目を通してないんですか?」
ティアが軽く首を傾げる。
「うん、なんか……金額が大きすぎて。見たら就労意欲がなくなりそうで……」
「……ゼンイチさんらしいですね」
ティアはくすっと笑った。
「でも、これだけあれば……アイスドラゴンの素材、手に入れられそうですよ」
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