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4、おっさん魔法少女と出合う

「はあ、疲れた」

「お疲れ様、千草」

コンビニのバイトはなかなか疲れる。

菜央は時々ジュースの品だしの途中で隠れてスマホをいじってるし。


期限切れの食料品を持って行って良いって言ってくれる店長は良い奴だ。

俺はそれに恩を感じていない訳でもないが、真面目にバイトをしている。

「ねぇねぇ、これ知ってる?」

「へ?」


それは、死に神が現れるというウェブの小さな記事だった。

<午前零時に歩道橋に立っていると、死に神が現れて自殺させられてしまう>

いわゆる都市伝説の類いだ。

場所は、あれ? 昨日俺が行った歩道橋だ!

ナナという死に神は噂になっていたのか。


「千草もバイト帰り気をつけなよ」

「うん、菜央もね」

交代要員が出勤してきたので、時間通りに仕事を上がった。

今は夜10時。

すこし散歩でもして帰ろう。


俺は他のコンビニで、ノンアルコールビールとチーズ鱈を買った。

そして、そのコンビニの近くの公園で一杯やった。

「魔法少女ね、その辺に居たりして」

ブランコに腰掛けてると、俺より少し若い感じの女性が話しかけてきた。


「あなた、こんな時間に何してるの?」

「一杯やってる、あ、ノンアルコールだからな」

俺は急に話しかけてきた少女を見て、度肝を抜かれた。

それは、変身したときの俺より、フリフリでキラキラした衣装だったからだ。


「私は百々花、よろしく」

「私は千草、よろしく」

「千草は死に神の噂、知ってる?」

「うん」

コイツも俺を呼び捨てか、と思いながら返事をした。


「あの、その格好は?」

「私、魔法少女なんだ!」

「え!? 言っちゃって良いの!?」

俺は思わず声に出してしまった。

百々花は笑って頷いた。


「警察に補導されちゃったこともあるけど」

「そりゃ、その格好で魔法少女って言われたらね」

「千草さんはいい人だね」

「あはは」

俺も魔法少女だとは言わない方が良さそうだ。

面倒事に巻き込まれたくはない。


「ライン、交換しよ?」

「え、初めて会ったのに?」

「だめかな?」

首をかしげる姿が余りに可愛かったので、俺は百々花とラインを交換した。


「でもさ、そんな格好でこんな時間に歩いてたら、変な人に声かけられない?」

俺は百々花に聞いた。

「平気だよ、コスプレだって思われるから」

百々花は少しも疑問を持っていないようだった。


「それじゃ、またね、千草! まだパトロールがあるから」

「はいはい、またね、百々花」

俺は走って行く百々花の背中を見送った。

ちょうど飲み物も食べ物も空になった。


俺は家に帰ることにした。

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