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3、おっさん、人を助ける

千草は、散歩をして帰ることにした。


人通りの少ない道を一人歩く。

辺りは暗い。


歩道橋を上ると、女性が飛び降りようとしていた。

「危ない!」

千草が駆け寄った。

女性は飛び降りてしまったが、次の瞬間、ふわりと体が宙に浮いた。


「間に合った!」

千草が魔法で、女性を救ったのだ。

千草は女性を歩道橋の下に移動させると、話しかけた。


「どうして、こんなことをしたの?」

「私なんて、生きてる価値がないんです」

話を聞いてみると、女性は三木本みきもとさおりと名乗った。


「看護師で、職場いじめを受けてる? どこにでもあるのね、最低……」

「私が劣っているのがいけないんです」

さおりは泣きながら言った。

「そんなことないわ!」

千草は昔の自分と重ね合わせて、怒りに震えていた。


「ところで、貴方は?」

「私は小野おの 千草ちぐさ。魔法少女です!」

「魔法少女!?」

さおりは目を見開いた。

「今、お姉さんを助けたでしょ?」

千草はピースサインをして、胸を張った。


「あはは! 私とうとう気が狂っちゃったんだ!!」

さおりは笑った。

千草は、首を振った。

「さおりさん、今の職場辞めた方が良いよ」

「何ですって!?」

千草は言った。


「仕事なら、もっと良い場所見つかるよ」

「そんなこと……。今の職場だから雇ってやってるんだって言われてるし」

さおりはうなだれた。

「そんな嘘、真に受けちゃ駄目!」

千草は一生懸命説得した。


そのとき千草には、さおりの体が黒い波動に包まれているのが見えた。

「浄化!」

千草はそう言って、さおりの額に手をかざした。

すると、黒い波動は消え去った。


「あれ? 私、なんだか気持ちが軽くなった……」

「転職、した方が良いですよ」

「そうね」

さおりは打って変わって明るい顔で頷いた。


歩道橋で、さおりと千草は別れた。

「人助け、できたのかな?」

千草が呟いていると、いつの間にか歩道橋に人影が現れていた。


「余計な事されちゃうと困るんだけど」

「貴方は誰?」

千草は身構えた。

「私? 私は死に神のナナ。っていうか、あなた私が見えるんだ?」

黒いワンピースの美女は、そう言って笑った。

「今回だけは見逃してあげる。 でも、次は無いと思ってね」


ナナはすれ違いざま、千草の頬を撫でた。

余りに冷たい手で、千草は青ざめた。


「ナナ、怖いな……」

千草が振り返ると、ナナは消えていた。


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