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スキルショップの観測者(オブザーバー)  作者: この物語はフィクションです
8/8

第8話 《人生をやり直すスキル》

更新クソ遅くてごめんなさい!!

「どうしたんですか? 浮かない顔して」



 月夜が心配してくる。


 今日は土曜日。一昨日の戦いの後、『ノウタイ』に指名手配されないように『ノウタイ』本部に潜入して一日かけて全ての記録を抹消した。

 やはり、というか分かっていたことだが別の場所から監視されていたらしく、しっかりと俺の指名手配の準備が進んでいた。ついでに共犯扱いでみうの分も。

 流石に綱渡りだったが、戦いも起きなかったしなんとかバレずに消せたと思う。


 残る問題は一つ。

 いつ来るかわからない別世界に居るゼータという存在だ。もうただただめんどくさい。

 死神の関係者故に下手に殺しづらい上、どうやって俺の存在を知ったのかを知る必要がある。

 まあ考え次第ではいい暇潰しにはなるって事でポジティブに行こう。まあ相手は相当自信があるようだし最悪の場合観測者権限を奪われる可能性もあるっちゃあるが……。

 いや、もうこの事を考えるのは止めよう。昨日と一昨日は客が居なかったから自由に行動できたけど今日はしっかりと客が来る日だからな。



「色々あるんだよ。ついでに今日は客一人で45分後な」


「45分って長いような短いようなで微妙に何して待つか迷っちゃいますね」


「とりあえず掃除頼んだ。ちょっと寝るから30分経ったら起こしてくれ」


「わかりました!」



 俺はテーブルにうつ伏せになってから《安眠のスキル》を発動して速攻で寝る。



 久々に見た夢は過去の出来事。

 全ての人が同時に能力が覚醒し、突然に平和が終わり、サバイバルの様な生き方をしなければいけなかった世界。


 ……俺が観測者になる前の世界の夢だ。


 朝のホームルームの時間に俺が居た教室とは違う教室が爆発し、皆が錯乱状態になり、能力を使った殺し合いが起き、そして気付いたら学校の外でも同じようなことが起きていた。

 どこに逃げても安息なんてない。ただ強い能力を持った人間が周りを支配して快楽に浸っている地獄の様な世界。

 そんな世界で俺達は──


「そろそろ時間ですよー」



 月夜の声で目が覚める。



「もう時間か……」

 時間を確認してからさっきの夢を忘れるようにトランプに能力を付与する。



「……これでよしと。じゃあ呼ぶぞ」


「了解!」



 指パッチンをしてから今日の客をテーブルの前に瞬間移動させる。

 小太りの40代くらいのおじさんは驚きながら辺りを見渡す。最近は変な奴が多かったからこういう反応をされるのが新鮮に感じる。



「ようこそスキルショップへ。あなたはどんな能力をお求めですか?」


「あっ……えっと……どんな能力でもいいんですか?」


「犯罪系の能力じゃなければなんでもかまわないよ」



 土日は犯罪系スキルは売っていない。月夜の教育に良くないからな。



「なるほど……過去に戻る能力は可能ですか?」


「まあ可能ではあるけど何故その能力が欲しいのかの理由だけ聞かせて欲しいね。一応能力的には犯罪にも応用がきくスキルだからな」


「先日、勤めていた会社が倒産してしまったんです。お金はまだ少しありますが私としては過去に戻って人生をやり直したいと思いまして……」


「ふむ。家族は居るのか?」


「いえ、独身です。二年前に両親も失ったので、もう一人っきりですね」

 男は乾いた笑みを浮かべる。



「なるほど。なら問題ない。お前の幸運を少しだけ祈ってやるよ」

 そう言いながら俺はトランプをテーブルに広げた。



「えっと、カードを選べばいいんですか?」


「そうだ。既にカードに能力が付与されてる」


「それじゃあ……これで……」

 男は一番端のカードを手に取る。

 選ばれたカードはJOKER。大当たりだ。



「おめでとうございます。《人生をやり直すスキル》です。《過去に戻るスキル》だと年齢もそのままで過去に戻ってしまうので話の内容を聞いて少しだけ変えておきましたよ」


「あ、ありがとうございます」


「一応スキルは今の体に付与された状態ですから、人生をやり直した後は能力が消滅してしまうので注意してください。それと能力自体は好きなタイミングで発動できるので今の人生を全うしてから死ぬ直前に使った方がお得ですよ」


「なるほど……本当にありがとうございます」


「いえいえ。それではまたお越しくださいませ」



 指パッチンで元居た場所へ戻す。



「ふう。今日の仕事終わり」


「過去に関係する能力でしたけど今回はデメリットとかは無いんですよね?」


「まあ独身で両親も居ないんじゃ彼からしたら使うデメリットは無いかなぁ。一応悪い奴がさっきの能力持った場合は今の世界で犯罪やらなんやら好き放題してから人生をやり直したりもするけど、さっきのおっさんはそんな事はしないみたいだし一安心って感じ」


「良かったー。それと今日はお客さんは一人って言ってましたけど、この後は何かするんですか?」


「どうすっかなー。特に決めてねえから解散でいいかもだわ。ちょいと確認したい事もあるし」


「分かりました! そう言えば愛ちゃんから久々に連絡が来たんですよ! 今度遊びたいので休みってとれますか?」



 まあそうだろうな。お前の連絡先を伏見愛に教えたの俺だし。



「問題ない。いつ休みたい?」


「お客さんが0人の日でいいですよ」


「明日と来週の日曜日なら客は0人だな」


「じゃあ明日休みたいです! 日曜日ならいつでも会えるって言ってたので!」


「了解。楽しんでおいで」


「もちろんです!! あの……廻神さんも来ますか? 愛ちゃんが連絡してくれたのって廻神さんが関係してるんですよね……?」


「まあ関係はしてるけど関わる気はねえよ。とりあえず今日は解散。瞬間移動先は家で大丈夫か?」


「はい。大丈夫です。えっと、もし気が変わったら来てくださいね。場所とかは言わなくても廻神さんなら分かると思うので」


「そう言われても行く気はねえって断言しておく。変に期待されても困るからな」


「そうですか……分かりました。それじゃあまた来週です!」

 月夜は少しだけしょんぼりした表情をしていたが、俺に気を使わせない為かニコっとした。



「おう。おつかれ」



 指パッチンをして月夜を家に送る。



「さて、久々にあいつらに会いに行くか」



 そう呟いてから俺は別の世界に転移した。

ブックマークや評価が小説を書く力になります。

何卒よろしくお願い申し上げます。

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