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スキルショップの観測者(オブザーバー)  作者: この物語はフィクションです
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第2話 《幸福な気持ちにさせるスキル》

「悲報だ。なんと今日のお客さんが来るのは約六時間後。めっちゃ暇になる」



 平日のスキルショップは午後から営業を開始する。

 俺の能力の一つに《未来を予知するスキル》があるおかげで客が来る時間は完全に把握している。

 勘違いしないで欲しいのは、全てを予知しているわけではなく、あくまでも客が来る時間しか予知していないと言うことだ。

 客のガチャ結果を見てしまったら、この店で暇を潰す意味がないし、つまらないことこの上ない。



「別にいつもの事だからいいですよ。暇潰しは何します」



 返事をする女性の名前は安藤みう。ちょっとだけレアな能力を持った髪の長いモデル系の美女だ。

 みうは、平日の看板娘。

 ついでに桂場月夜は平日なので学校に行っている。



「そろそろHEROにも飽きてきたし、たまには人生ゲームでもやるか?」



 HEROは俺が考えた二人用のトランプゲーム。

 ルールは簡単な三竦み。

 ハートとダイヤの1~10が市民。

 スペードとクラブの1~10が怪人。

 そしてマーク関係なくJACKからKINGがHERO。

 カードをハート&スペード、ダイヤ&クラブに分けてから、お互いにカードを五枚づつ裏側で出し合い一枚づつ確認していく。

 同じ種類で同じ数字なら、お互いに墓地へ送る。

 違う場合は、怪人は市民に強く、HEROに弱い。

 そんな感じの良くあるジャンケンみたいなゲームで、同じ種類なら数字が高い方が強い。

 そして弱いカードを墓地に送っていき、カードが五枚出せなくなった方の負け。

 普通と違うのはHEROは市民の味方。つまりHEROに対して市民を出せれば墓地へ送らずにカードを奪えるのだ。

 HEROの枚数が怪人や市民に比べて少ないので意外と心理戦としては盛り上がる。



「私まだ一度も勝ててないんですけど」


「まあスキル使わなくても平等なカードゲームは強い方だからな」


「だからって20戦以上やって一度も勝てないのはおかしいでしょ。だから勝てるまでやる」


「お前顔に出過ぎなんだよ。特にJACKからKINGのカードを出す時が分かりやすすぎる。シャッフルしてランダムに置いた方が勝率上がると思うぞ」


「……人生ゲームする」



 みうは拗ねて人生ゲームを取り出してくる。

 まあ心理戦ゲームを運否天賦でした方が強いと言われたら、拗ねるのも当然か。



 結局、四時間を人生ゲーム、一時間をHERO、残りの時間を掃除に使った。

 人生ゲームは運が悪くて勝率四割。HEROは全勝だった。



「結局一度も勝てなかった……もう二度とやらない……」


「お前いつもそう言いながら次の日には挑んでくるだろ。てかHEROは俺の全勝でも、人生ゲームはお前の方が勝率高いじゃねえか」


「運ならそこそこありますからね。そもそも五時間以上も暇潰しに付き合ってあげてるんですから、少しは感謝してください」


「給料のうちのほとんどが俺の暇潰し代なんだから感謝も糞もないっての。それと今日の能力ガチャは何を使うかお前が決めていいぞ」


「人生ゲームでいいんじゃないですか? マスごとに能力付与して選択式とか」


「採用。大当たりはどのマスにすっかなー」


「ゴールだと安直すぎますからね」


「まあなんでもいいや。準備完了。もう呼ぶぞ」


「はいはい」



 指を鳴らし、客を瞬間移動で招く。


 今回の客は20代前半の男性か。

 この年齢で百万円を用意できるってことは結構頭がいいか、頭の悪い馬鹿が悪いことしてるかの二択だな。



「おおすげえ! まじでこれた!!」


「ようこそ。スキルショップへ」


「なあ! 犯罪系スキルってやつを売ってくれよ! 洗脳でもなんでもいいからよ!!」



 頭の悪い馬鹿臭がプンプンする。



「はい。販売方法はご存知ですか?」


「ガチャなんだろ? まあ余裕っしょ」


「それでは、この人生ゲームから一つのマスをお選びください」



 そう言いながら俺は目を淡く光らせて人生ゲームに付与された当たりの能力を打ち消す。

 相手にはどのマスが変わったか分からないように当たりを犯罪系スキルに書き換え、ハズレを少しだけ増やす。

 この間、僅か二秒。慣れたものだ。



「確認だけど元から能力持ってても大丈夫なんだよな?」


「大丈夫ですよ。こちらから複数の能力を付与する場合は追加料金を払ってもらいますが」


「ならマジでイージーゲームだな。俺の選ぶマスはゴールだ」


「はい。《幸福な気持ちにさせるスキル》ですね」



 スキルが付与された瞬間に男は激怒する。



「……は? なんだよその糞スキル!? イカサマだろ!? 俺の能力は《幸運のスキル》だ!! ハズレを引くわけねえんだよ!!」


「むしろなんでここで能力が使えると思ったんですか? 無効にされると思いませんか?」


「うるせえ!! 糞!! こんなスキルいらねえよ!! 金返せ!!」


「そうですね。能力を返却してもらえるのであれば、二十万円はお返ししますよ」



 俺は相手に付与した能力を消し去り、二十万円をテーブルに置く。

 ちなみにお金は瞬間移動でここに呼び寄せる段階でこちらの手元のある。

 渡されずに逃げられたら困るからね。



「糞詐欺野郎!! ネットで悪い噂をばらまいてやるからな!! 覚悟しやがれ!!」



 男はテーブルに置かれた金を回収し、帰ろうとするが、出口が見当たらないせいで帰れない。



「どうやって帰るんだよ!?」


「悪い噂を流されるのは困るんでね。悪い噂を流さないってしっかり約束してもらわないと帰せませんよ」


「ああ! わかったよ約束するよ!!早く帰せ糞野郎!!」


「契約完了。帰っていいよ」



 俺はそう言うと指パッチンで相手を瞬間移動で帰らせる。



「良かったんですか? 絶対悪い噂流されそうですけど」


「契約系の能力を発動したからそんな事出来ないよ。しようとした時点で死ぬから」


「そりゃお気の毒に」


「しかも当たりを引いてたのにかわいそうだよね」


「えっ、《幸福な気持ちにさせるスキル》が当たりなんですか?」


「結構強力な犯罪系スキルだよ。相手にどんな事をしても、それを幸福なものだと錯覚させるんだから。例えばレイプしながらさっきのスキルを発動すれば、レイプされるのが幸福に感じて相手はレイプされたいと思うようになる。しかも能力は一時的なものだからどんなにレイプされても能力で味わった快感、幸福は得られない。まあ要するに人格すらも破壊できる凶悪スキルって感じ」


「それ聞くと結構エグいですね……」


「まあ能力なんて使い方次第だよ。みうの能力だって当たりかハズレかって言われたら微妙な感じのレアスキルだろ」


「まあそれもそうですねー」


「今日はさっきの人で終わりだし、これから飯でも行くか?」


「いいですね。飲み放題のところでお願いします」



 みうのおかげで、今日もこの店で有意義に暇を潰せた。


 ついでに帰り道で今日来た男が死んでいたので、この世界から存在を消しておいた。

数ある作品からこの作品を選んでいただき感謝感激です。


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