色彩
ツイッター等でもらった二字熟語から想像して描いた小説です
色彩
私の【記憶】は、感情の刻み込まれてない、色付けのされてないモノクロームだ。
それと対照的に私の【思い出】は鮮やかな色がつけられている。感情が刻み込まれている。
追憶すればその場に戻れると錯覚できるほど写実的に描かれた珠玉の名作だ。
色褪せることはない。
元々私の脳には【記憶】しか存在していなかった。しかし今では【思い出】が存在している。
さてそれは何故だろうか。
彼女のせいだろうか、孤独を唯一の友人としていた私に恋心を教えた彼女のせいだろうか。
否、私のおかげだろう。
誰一人として私に感情を与えることはなかった。
彼女も同様に。
それなのに、彼女が私の記憶を色付けしてくれたと思い込んでいるのは、彼女がくれた言葉のせいだ。
甘い言葉で私は騙された。
騙された勢いで、恋心の元を私が作った。
それに彼女が色をつけるのに十分な言葉という名の絵具を用意した。
色を付けるものと、絵具があるの状態で勢いに乗った私が色を付けるのは当たり前のことだ。
その勢いで作った作品が
彼女への恋心、もとい【思い出】だ。
決して他人から見れば綺麗なものではないだろう。
他人から見れば一人の男が甘い言葉で騙され、女を好きになるという滑稽なものだ。
それでも私にとって、この恋心は初めての色のついたもので大切なものであった。
色彩豊かな思い出であった。
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