僕と彼女
データが一回ふっとんだので荒い部分多いかもです……
「来ちゃった」
と彼女は言って連絡もしないで家にやってきた。
朝方の彼女は化粧もしていなくて、服と髪も乱れている。それでもとてもかわいかった。
彼女は家に入るとベットへ飛び込み枕に顔をうずめて「疲れたぁ!」と叫んだ。
「昨日も仕事だったの」
出来るだけ平静を保ち、コップに水を入れながら僕はそう聞いた。
朝まで誰かの相手をしているとき以外、彼女が僕の家に来るはずがないのにわかりきっているのに。
「うん。なんかね、偉いおじさんの相手してたの。さっきまで一緒にいたから臭いついてるかも」
彼女はそう言って、自分の体の至るところをすんすんと嗅いで見せた。
「大丈夫、臭いしないよ」
ほんとに臭いはしなかった。彼女からは女の子のいい匂いがしている。僕はその匂いが好きだ。
僕はコップを彼女に渡すと彼女は「ありがと」と言ってそれを受け取りとぐいっと水を飲み切った。
彼女の唇からコップが離れる。僕の知らない誰かとその唇を重ねていたのだろうか。そう考えると腹の底から真っ黒い感情が湧いてくる。できることなら彼女を僕だけのものにしたかった。
彼女は町の風俗店で働いている。僕が初めて風俗に行ったときに対応してくれたのが彼女だった。お金が足りなくて、キスまでしかできなかったけど、それでも僕は幸せだった。時間が終わって帰らなければいけなくなった時、僕はどうしても彼女とまた会いたくて自分の個人情報を書いた紙を渡した。彼女は「もしかしたら遊びに行くかも」なんて言って紙を受け取って、最後にもう一度キスをしてくれた。
あんまり期待してなかったけど、その後、彼女はしばしば僕の家に遊びに来てくれるようになった。
他の誰かの相手をした後なのが、正直悔しいけれど、彼女が来てくれるだけで僕は嬉しかった。
「君はまだ童貞なの」
「そうだよ。キスも君以外としたことないし、家に君以外いれたこともないよ」
ふーんと彼女は興味なさげに気の抜けた返事をした後、いたずらっぽく笑って「こんだけお世話になってるし、一回相手してあげようか」と言った。その提案は正直すごく魅力的だし、彼女を抱きたくて仕方がないけど、断った。彼女のことを本気で好きなのだ。こんな軽い感じでしたくなかった。
「その考え方が童貞だねぇ。かわいいねぇ」
彼女はそう言いながら僕の髪をわしゃわしゃと撫でた。
そして、ベットに寝転ぶと「ごめん、少し寝かせて」と言い僕が返事をする間もなく寝てしまった。
僕はこの時間がとても好きだ。
彼女の近くにいるだけで、僕はとても幸せなのだ。