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片翼の旋律  作者: みりん
8/9

第一章[始まりの音色(トーン)]#5

そこに居たのは(ミナト)くんだった。


「おや、奇遇だねぇ。てっきりff(フォルテシモ)かと思ってたけど」


「その帰り。つーかあんたこそこんなところで何してんだよ。」


色々考え事をしてる間に辺りはすっかり夜の街並み。



「たまには息抜きも必要かなと思ってね、散歩だよ」


「だからってこんな時間に一人で出歩くなよ。」



「行くぞ」と(ミナト)くんは私の腕を掴んでそのまま歩き出した。



「ちょいちょいどこ行くのー?」


「どこって…決まってんだろ。あんたを送るんだよ」



この子はなんでこんなに私に優しいんだろうか。

それともこれが普通なのかな?



(ミナト)君って優しんだね」


「普通だろ。この時間に女が一人で出歩いてる方がどうかしてるだろ」



と、半ば呆れながら(ミナト)君は言う。



「あはは…。確かにその通りなんだけどそんなストレートに言われると私もさすがに傷ついちゃう」



なんて冗談を言いつつ彼に本心を悟られないよう誤魔化した。


それから彼に手を引かれるまま自宅に到着。



「わざわざありがとう(ミナト)君。気をつけて帰るんだぞ」


「あんたに言われたくねぇよ」


「はいはい」と軽く流し踵を返した。



――。



あの人の背中はどこか寂しそうに見えた。

手を握った時も少し震えていたように感じた。

あの時なぜ、一人で街を眺めてたのか。

なぜ羨ましそうでどこか寂しい眼で街の人見てたのか。


聞きたかった。

けど――。

聞けなかった。



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