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「お父さん!?」
さいぴょんは驚いた。なんと空から現れたのが自分の父親だったからだ。
「誰が、お父さんだ。さいぴょん。おまえは今日限りで勘当だ。」
「勘当!?」
「そうだ。おまえの日頃の行いが悪いからだ。父親である俺に歯向かってばかりで。」
「僕が、いつ、お父さんに歯向かったというんですか!?」
「俺が大量の雨を降らせた時、おまえは雨を逆流させたではないか。」
「あれは人々を守るためにやっただけです!?」
「それが父に逆らったと、まだ、気づかないのか!」
「そ、そんな!?」
さいぴょんは、父親の理不尽な罪の着せ方に戸惑った。
「これから、おまえから心臓を取り出す。」
「え!?」
「おまえの力の源であるサイコロを取り出す。覚悟しろ。」
「心臓が無くなったら、僕は死ぬ。サイコロが無くなったら、僕は何もできない。僕を殺す気ですか!?」
「その通り。神である俺を怒らせた、おまえが悪いのだ!」
「そんな無茶苦茶な!? 許してください!? お父さん!? 僕が悪かったんです!? 今後は気をつけますから!?」
「もう遅い。」
「ギャアアア!?」
神であり父である俺は、息子のさいぴょんから心臓を引き抜こうとする。心臓がもぎ取られそうな苦痛で顔を歪め悲痛な叫び声をあげる、さいぴょん。
「これはどういうこと!?」
そこに、ころぴょんがやって来た。目の前でさいぴょんの心臓がえぐり出されていく。そして・・・ついに。
「ハッハッハ! 取り戻したぞ! 女魔王のサイコロを!」
「おえ、気持ち悪い。」
「このサイコロは元々、俺の物だ!」
「待ちなさい!」
「なんだ? おまえは?」
「さいぴょんの相方のころぴょんだ。」
「説明ありがとう・・・違う!? あなたにはサイコロでも、さいぴょんのにとっては、心臓なのよ!? 心臓を取られたら、さいぴょんが死んじゃうじゃない!?」
「そんなこと知るか。俺の物は俺の物。俺が自分のサイコロを取り戻して何が悪い? 俺がサイコロでさいぴょんを生み出したのだ。いわば親も同然。親が子供を生かそうが殺そうが自由にして良いのだ。」
「はあ!? 何言ってんのよ!? この自己中野郎が!? なら、そのサイコロ、私が取り返してあげるわよ!」
「神である俺に歯向かうというのか?」
「神? あなたなんかが神様なら、私は気象予報士よ! 気象予報士をなめないでよ!」
「面白い。少しだけ遊んでやろう。神の力を思い知るがいい。」
俺ところぴょんの神と気象予報士の異種格闘技が始まる。晴れていた青空に黒い雲が急速に発達して雷鳴が鳴り響く。
「大地に降り注げ! メニイ! メニイ! サンダー!」
無数の稲妻が俺を目掛けて落ちてくる。しかし、俺は微動だにせず、余裕の笑みを浮かべている。なぜなら、俺が神だからだ。
「神の名において命じる。空よ! 晴れろ!」
俺の一言で雷はかき消され、空を覆っていた黒い雲は一瞬で消えてしまった。空は元の青空に戻った。
「そんな!? 私の雷が!?」
「どうだ? これが神の力だ。ハッハッハ! 人間ごときが神に歯向かおうとしたことを後悔するがいい。これから地獄を味合わせてやるぞ!」
「油断しましたな。神様。」
その時だった。俺の隙をついて、サイコロを奪う者がいた。それは二の町で人々を救っていた聖騎士様だった。
つづく。




