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「これが、町?」
「そうよ。森の中よりは賑やかでしょう?」
僕と、ころぴょんは、イチの町にたどり着いた。始まりの町だけに、それほど大きな町ではなかった。さびれている理由は、それだけではないみたいだった・・・。
「これも全て、カトリーヌ・ねこぴょん様の性よ。」
「え? どうして?」
「人々は、珍しく始まりの町から英雄が生まれたと調子に乗ったわ。土地を買い、不動産を買い、株を買った。しかし期待が多きければ、バブルがはじければゴミと同じ。あっという間に人々は借金塗れで死を待つだけよ。」
「そんなことがあったのか・・・。」
「あれを見て。」
ころぴょんは壁に張っているポスターを指さした。
「賞金首!?」
「そう、カトリーヌ・ねこぴょん様は町を借金塗れにした罪で、賞金首になったの。」
「英雄だったのに・・・。」
「人々は勝手な者よ。自分の都合の良いように、良いも悪いもいう者よ。」
「分かった。だからカトリーヌという名前の君は名前を変えたかったんだ。」
「その通り。よくできました。」
「やったー! 褒められた!」
「そんなに喜ばれても・・・。」
「ガーン。」
こうしてカトリーヌの禁じられた名前の謎が解けた。
「改めまして、私は気象予報士。攻撃魔法も回復魔法も使うことができるわ。きっと役に立つはず。まだレベル1だけどね。あなたは?」
「僕は、サイコロ士。」
「サイコロ士? 聞いたことの無いジョブね。」
「サイコロを振って、何もない所から何かを創り出すんだ。」
「う~ん。よく分からないけど、期待してるわ。」
僕のジョブは分かりにくいらしい。だが、ころぴょんのジョブも僕には分からなかった。
「それでは冒険の準備をするわよ。」
「はい。」
「まずは・・・宿屋に行って、バスタイム!」
「はあ!?」
「女の子は汗臭いのが嫌いなのよ! その間にあなたは自由に町を徘徊していていいわよ。」
「徘徊って・・・。」
「それでは3時間後に宿屋の前に集合。OK?」
「分かりました・・・。」
「お風呂! シャワー! お風呂! シャワー! 湯船にアヒルを浮かべるわよ!」
「・・・。」
僕はころぴょんと別れた。町の中を初めて来た田舎者らしく、キョロキョロ見ながら歩いていた。
「3時間・・・僕は何をやって過ごそうか?」
「おっと、ごめんよ!」
「イタッ!?」
急いでいる人が僕にぶっかって、去って行った。
「いったい何だったんだ? いたたたたっ。」
僕に当たって去って行った人は路地裏で楽しそうに笑っていた。
「やったー! アホそうな田舎者冒険者から財布を掏ってやったぜ。こんばんわ、お酒を飲みまくる・・・ぞ!?」
まだ一度も戦闘していない僕の財布の中身はゼロ。一円も入っていなかった。
「あと2時間55分。何をやって過ごそうか?」
僕は途方に暮れていた。
つづく。




