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ESF 楽しい・サイ・ファン  作者: 渋谷かな
19/61

19

「これが、町?」

「そうよ。森の中よりは賑やかでしょう?」


僕と、ころぴょんは、イチの町にたどり着いた。始まりの町だけに、それほど大きな町ではなかった。さびれている理由は、それだけではないみたいだった・・・。


「これも全て、カトリーヌ・ねこぴょん様の性よ。」

「え? どうして?」

「人々は、珍しく始まりの町から英雄が生まれたと調子に乗ったわ。土地を買い、不動産を買い、株を買った。しかし期待が多きければ、バブルがはじければゴミと同じ。あっという間に人々は借金塗れで死を待つだけよ。」

「そんなことがあったのか・・・。」

「あれを見て。」


ころぴょんは壁に張っているポスターを指さした。


「賞金首!?」

「そう、カトリーヌ・ねこぴょん様は町を借金塗れにした罪で、賞金首になったの。」

「英雄だったのに・・・。」

「人々は勝手な者よ。自分の都合の良いように、良いも悪いもいう者よ。」

「分かった。だからカトリーヌという名前の君は名前を変えたかったんだ。」

「その通り。よくできました。」

「やったー! 褒められた!」

「そんなに喜ばれても・・・。」

「ガーン。」


こうしてカトリーヌの禁じられた名前の謎が解けた。


「改めまして、私は気象予報士。攻撃魔法も回復魔法も使うことができるわ。きっと役に立つはず。まだレベル1だけどね。あなたは?」

「僕は、サイコロ士。」

「サイコロ士? 聞いたことの無いジョブね。」

「サイコロを振って、何もない所から何かを創り出すんだ。」

「う~ん。よく分からないけど、期待してるわ。」


僕のジョブは分かりにくいらしい。だが、ころぴょんのジョブも僕には分からなかった。


「それでは冒険の準備をするわよ。」

「はい。」

「まずは・・・宿屋に行って、バスタイム!」

「はあ!?」

「女の子は汗臭いのが嫌いなのよ! その間にあなたは自由に町を徘徊していていいわよ。」

「徘徊って・・・。」

「それでは3時間後に宿屋の前に集合。OK?」

「分かりました・・・。」

「お風呂! シャワー! お風呂! シャワー! 湯船にアヒルを浮かべるわよ!」

「・・・。」


僕はころぴょんと別れた。町の中を初めて来た田舎者らしく、キョロキョロ見ながら歩いていた。


「3時間・・・僕は何をやって過ごそうか?」

「おっと、ごめんよ!」

「イタッ!?」


急いでいる人が僕にぶっかって、去って行った。


「いったい何だったんだ? いたたたたっ。」


僕に当たって去って行った人は路地裏で楽しそうに笑っていた。


「やったー! アホそうな田舎者冒険者から財布を掏ってやったぜ。こんばんわ、お酒を飲みまくる・・・ぞ!?」


まだ一度も戦闘していない僕の財布の中身はゼロ。一円も入っていなかった。


「あと2時間55分。何をやって過ごそうか?」


僕は途方に暮れていた。


つづく。

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