プロローグ2
ーーーとまあ、モテない男の叫びはここら辺にして、本当に疑問なのだ。
異性と、まあ、女性か、女性と、付き合うって、本当にどんな感じなんだろう?
電車に揺られながら、今日もまた考える。
付き合うって決まった瞬間は、どんな感じなんだろう。ていうかそもそも付き合うって決まった前はどんな感じだったんだろう。
好き同士だったのか?それとも好きじゃないけど、流れで付き合ったとか?顔がいいとか?性格?趣味が合うみたいな?もしくはーーー
ぅおっとお、びっくりしたあ。
俺の右肩に違和感があった。ちょっとした圧迫感が。
右目をうっすらと開けて、確認する。
さっき右隣に座った女性が、俺の肩に頭を寄せてきていた。ちょっとドキッとしたが、すぐに理解した。
寝ている。隣の女性は寝ているんだ。俺の肩を借りて寝やがっているんだ。
とはいうものの、イライラはしない。
なぜならこんなシチュエーションは滅多にありえないからだ。女性が、俺に寄り添ってくれるなんてまずない。それに、こんなのは傍から見ると羨ましいシチュエーションに決まってる。
まるで彼氏と彼女だ。
どうだ、羨ましいだろ。
髪の毛のいい香り、頭の重み、温もり、そしてかすかに聞こえる寝息、感じられるのは俺だけなんだぜ?
、、、分かってる。分かってるよ。
全部わかってる。こんなの、全部偶然で、この女性もそんな気はなく、全部俺の妄想だってこと。
ほら、起きた。隣の女性は電車の強い揺れに反応して、ビクッと体を起こす。ああ、終わった。俺の幸せな時間が。
一生にきっと数回しかないであろう、貴重な時間が。
ああ、着いた。俺の降りるべき駅に。
アナウンスと共に、プシューっとドアが開く。
カバンを持って、席を立つ。
女性は、まだ座っている。
よく見たら、女性というか、まあ、なんというか、
女の子だった。見る限り、俺とタメか、年下の、可愛らしい、女の子だった。
女性というには、まだ幼い感じが、溢れ出ていた。
なぜか、俺には感じ取れた。
電車から、駅のホームに足を伸ばし、降りる。
と、同時に、さっきの女の子を思い出す。
ああ、ああ、もう少しあの時間が続けばよかったのになぁ。もうちょっと寄り添っていて欲しかったなあ。髪の香り、頭の重み、温もり、かすかに聞こえる寝息、、、
そんな気持ち悪い余韻に浸りながら、
俺は学校へと向かう。