転生神様がいく
どうしてこうなった。
神の脳裏は今、その感情で埋め尽くされている。
神の眼前には満面の笑みを浮かべる人間の姿。
いや、脳裏や眼前といった表現は正確ではない。
何故ならば今の神には脳もなければ目も存在しないのだから。
それならば、今の神に何故考える事や、見る事が出来ているのかという疑問は残るが、そこは神だからとしか言うより他はない。
理屈では語り切れない存在。
それが神なのだから。
その神が混乱の極みにあった。
そして恐怖に恐れ慄いていた。
こんな筈ではなかったのだ。
神は飽きていたのだ。
その長き人生に。
いや、この場合は神生と言うべきか。
だから。
少しばかりひまつぶしに転生してみようと思ったのだ。
神は思う。
どうしてこうなったと。
ひまつぶしに転生した筈だった。
だが現実は。
そして人間の顔が迫る。
口が迫る。
そして―――――――
「このひつまぶし凄く美味しい!」
神は逝った。
くだらなくてすまねぇ。
でも後悔はしていない。