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#064「フロッピー」

「終わったわね、詩織ちゃん」

「中間考査が、ですね?」

「もう、あたしの頭の中には、構文ひとつ残ってないわ。強力な磁力でキレイに消してしまったの」

「ひと昔前の、テープかディスクみたいですね」

「突然、大音量と共におどろおどろしい画像に切り替わるフラッシュ、通話機能だけのケータイ、東西冷戦」

「最後に関しては、今も場所を移して続いてますけどね」

「争いの火種は、あちこちにあるみたいよ。書籍の出版を巡って、紙媒体と電子媒体とでもめてるわ」

「政治と経済は、揉め事が付き物ですね」

「解決策を考え出したらキリが無いわ。――トマト、チョコレート、アイス・クリーム、ドライ・フルーツ。寝る前に食べると眠りが浅くなる食べ物は、結構あるのね」

「どれも、つい、食後に食べたくなるものばかりですね」

「眠気を覚ましてしまうものや、消化に時間が掛かるものは避けなきゃいけないみたい。あたしも気をつけよう。泰平の、眠りを覚ます、上喜撰」

「たった四杯で、夜も眠れず。身体の中では、まだ酵素が働いてるのに、さらに負担を掛けてはいけませんね。アミラーゼ、プロテアーゼ、ラクターゼ、リパーゼ」

「ジアスターゼ、シロガネーゼ。大貴の影響で、関連ワードを列挙する癖がついちゃったわね」

「フフッ。朱に交われば、白いままではいられません」

「周囲に合わせて、色が変わるのね。――また、この俳優が主演なのね。引っ張りダコなのは良いけど、大丈夫かしら?」

「ここまで立て続けに主演作が決まると、過労で倒れないか心配になりますね」

「役作りに追われて、プライベートの時間が無くなってそうね」

「そうですね。――話は変わりますけど、部長さんは五十嵐さんや山内さんと仲が良いですよね。この前も、二人揃って部長さんの家に遊びに来たそうで」

「そうなのよ。詩織ちゃんも呼ぼうと思ったんだけど、そんなに広い家じゃないし、ユウトも居たし」

「お声が掛からなかったから文句を言いたい、ということでは無いですよ」

「今度は詩織ちゃんも誘うわ。――二人が来ると、ユウトが嬉しがるのよ。専ら翔は外遊びで、大貴はゲームの相手をしてるんだけど」

「それだけ、ですか? 部長さんは?」

「あたし? ワイワイガヤガヤするのは楽しいわ」

「そうですか。ねぇ、部長さん。もしも、二人から同時に告白されたら、部長さんは、どちらを選びますか?」


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