#004「よく学び、よく遊べ」
「半端に余ったんだけど、食べる?」
「食べる!」
「食い意地が張ってることだな」
「でも、よく食べる割には太らないよね。代謝が良いのかな?」
「よく動き、よく喋り、どんどん燃焼させてるからよ。――この季節にコンビニで、おでんや肉饅やホット・ドリンクがズラッと並んでるのを見ると、天邪鬼が多いんだなぁって思わない?」
「冷房が効いた職場で働く人間には、重宝なんだろうけどな」
「真冬日にアイスのセールをやってるのと同じだね」
「どちらにしても、変なニーズよね。――日曜夕方の長寿アニメが低視聴率だったり、浅草から名物タワーが姿を消すことになったり、時代の移り変わりを感じるわぁ」
「十七年しか生きてない人間に、人生を語る資格はない」
「そうかな? 子供のうちに行く末について考えることは、とても重要なことだと思うよ」
「さすが、大貴。わかってるわね。――そこのシュシュ取って」
「子供と大人の境界線は、どこにあるんだろうな。――他人を顎で使うな。これか?」
「子供は生まれる時代や場所を選べないし、大人も好きな子供を選べない。――それはダッカールだよ、五十嵐くん。シュシュは、こっち」
「ありがとう、大貴。中学生の妹がいる割には、こういう言葉が通じないんだから。まだ小学生の、あたしの弟でも知ってるわよ?」
「それは、黛の家が美容室だからだ」
「それもあるだろうけど、何事も興味を持たないと覚えられないよ」
「若いうちからアンテナを短くしてはいけないわよ、翔」
「余計な忠告だ。興味の領域が違うだけで、範囲は変わらない」
「三者三様だから、好都合だよねぇ」
「そうそう。お金の使いかたも、性格が出るわよね」
「何に重きを置いているか、丸判りだもんな。政府は、アフリカに量より質の投資をするみたいだし、内閣府は、国民の約半数が現在の所得に満足してるとしてるし」
「それ、さっきの放送で自主規制した情報だね」
「どこまで踏み込んで良いか、判断に迷うわよねぇ」
「これも境界線が曖昧だな。――まだ、台風は通過してないのだろうか? 誰も、ここに来ないな」
「帰宅指示が出る気配は無さそうだね」
「放送前は、暴風雨だったわよね。今度からレイン・コートを持ってこようかしら」
「必要かもな。横殴りの雨だと、傘や長靴は役に立ちそうにない」
「そうだよねぇ。――ここに居ても退屈だし、図書室に行こうと思うんだけど」
「あたしも行く!」
「一人で待つのも何だから、俺も行く。戸締りするぞ」




