#040「女子会とボーイズ」
「あれ? 黛は、購買部か?」
「司書室にいるよ。斎藤先生と苦竹さんと三人で女子会をしてる」
「黛と換わってこい、山内。部長としての心得が足りないから、説教する」
「僕は女子じゃないから無理だよ」
「男子だけの参加は、お断りなのか?」
「どこぞのイタリア料理店みたいに言うね、五十嵐くん」
「まぁ、良いや。――就職活動で動画投稿、か。これで、履歴書を書かずに済むようにならないかなぁ」
「どうだろうね。でも動画ってデータ容量が大きいから、頻繁に再生すると月々の使用上限をオーバーするんだよねぇ」
「写真やイラストが多すぎる記事も、読みにくいだけなんだよなぁ」
「何でもかんでも詰め込まれてると、何が言いたいか伝わってこないよね」
「一周まわって、言葉で伝えるのが一番だってことになりそうだな。――ニュー・タウンは高齢化し、敦賀の原子炉が廃炉へ」
「過去の、未来への希望が、一つの終焉を迎えそうだね」
「高度成長期、右肩上がりの壮大な夢が、幕を下ろし始めたんだな」
「当時の二十一世紀像は、今と全然違うものね」
「乗り物はチューブに入ってないし、全身タイツみたいな防護服も着てない」
「今考えると、滑稽だよね」
「笑えるかよ。俺たちが考える未来像だって、未来の人間からしたら、格好の物笑いの種だろうさ」
「そうかもしれない。そろそろ報告を」
「今日は二人か。――俺からは、足にピタッと張り付くタイツとか、綿百パー・セントのシャツとか、サイズが大きめスニーカーとか、実は運動に適してなかったスポーツ・ウェアに関する情報、彬子女王が始球式をなさったという情報、アムステルダムの運河に、世界初の自動運転ボートが導入されることになったという情報、駐日オランダ人が大坂の陣について書き残した文書が、ハーグ国立文書館で確認されたという情報の四つだ」
「盛りだくさんだね。――僕からは、某大御所司会者が考案した、カレー・ライスやオム・ライス、唐揚げや生姜焼きが一味違う仕上がりになるレシピ情報、ハンバーガーを置いてなかったり、ロゴが黄色じゃなかったり、有名ファスト・フード店の普通とは異なる店舗に関する情報、焚き火が楽しめたり、飛行機の現在位置が把握できたり、いま何時何分何秒で地球が何回まわったか分かったり、使い時を選ぶ一風変わったアプリケーションの情報の三点、かな」
「まだ、何かありそうだが?」
「うん。ポリティカル・コレクトネスに対して賛否両論あることに関する特集もあったんだけど、これは政治記事になるのかなぁ?」
「看護師、保育士、ペール・オレンジ、タッチ・タイピング」
「障がい者、認知症、統合失調症、ハンセン病」
「カエルアンコウ、チヒロザメ、ヌタウナギ」
「ビジネス・パーソン、ポリス・オフィサー、ファイヤー・ファイター」
「男女問わず、さん付けで呼び合うことも、これに含まれるそうだな」
「女子会も、引っ掛かりそうだね」




