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#036「止まない雨」

「目は口ほどに物を言う」

「髪型と目元を変えると、雰囲気が大きく違うものだよね」

「物真似メイクが、その証明ね」

「話題になると、有名人に似せてくれって客がいそうなものだが」

「そういう注文が入ることは、本当にあるの?」

「あたしのところは、オシャレさより、誰でも利用できる気安さが売りだから、そういうお客さんは来店しないわ」

「地域に密着した、肩肘張らずに行ける美容院ってところか」

「敷居が低いから、幅広く支持されてそうだよね。――機転を利かせて、さらに株を上げた芸能人、か」

「有名人も大変よねぇ」

「神対応とか、粋な計らいとか言われて持ち上げられるかと思えば」

「不用意な発言や恋愛スキャンダルで干されるんだよなぁ」

「舞台裏も壮絶だよね」

「ドラマや映画の撮影では、監督から、俳優の人格を否定するような厳しい指導がなされることも珍しくないっていうわよね」

「それでいて、芸能活動だけで生計が立てられるのは、ごく一部でしかないんだからなぁ」

「副業の株式投資や店舗経営で稼ぐ、したたかなタレントもいるよね」

「本業では稼げなくていいと割り切ってるところがあるわよね」

「そういう人間がサービス精神で割に合わない仕事を引き受けるから、不当に安い出演料が罷り通ってしまうんだけどな」

「労働に見合った賃金を受け取るべきだし、見合わないときには声を上げるべきたよね」

「我慢せず、抑えつけず、きちんと話し合うべきよね。――ニューヨークで爆破テロがあったそうね」

「あぁ。一説では、ヘイト・クライムではないかとの見方もされてるそうだ」

「物騒だよね」

「平和に解決する方法が遠回しで、なかなか効果が現れにくいから、痺れを切らしちゃったのね」

「煮え切らず、遅々として進まない話し合い。――日本の人口に占める六十五歳以上の割合が過去最高になり、女性では三割を超えたそうだ」

「医療技術と生活環境は、着々と整ってるみたいだね」

「問題は、長生きして何をするかというところね」

「長生きすること自体が目的になってしまってる嫌いがあるからなぁ」

「年老いてから、何のために今日まで生きてきたのかと疑問に思わないようにしたいよね。――フゥン。今年は、金メダルがゼロだったんだ」

「金メダルが無いと駄目なのかしら?」

「銀でも銅でも、メダルを獲れるだけ凄いと思うけどなぁ」

「期待が高すぎるよね。――まだ、どの路線も運行再開してないみたいだねぇ」

「さっきから気になってたんだけど、何を見てるの?」

「車掌か駅員しか知ってないようなことを口走ってるのが気になる」

「列車の在線位置や車内の混雑具合、駅のロッカーの空き具合が確認できるアプリケーションがあるんだ。ほら」

「あら、本当。ヘェ。これは便利ね」

「普段だけじゃなくて、災害時にも役立ちそうだな。――こっちは何だ?」

「ファッションやインテリアの通販サイトだよ。変わった家具や雑貨が多いんだ」

「あ! そのカタログなら、あたしの両親が定期講読してるわ」

「食べ物の形をした寝袋に、発電できる椅子、か。たしかに、変わってる」

「物欲をそそられた?」

「翔には、可愛らしすぎるような気がするけど。――あっ」

「食欲をそそられたようだな」

「話も横道にそれてばかりだね。――とりあえず明日は、あめんぼの歌と外郎売から始めるってことにして、今日は、ここまでにしようよ」

「そうね。そうしましょう」


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