#030「冷静と情熱」
「お待ちかねの、結果発表。イェーイ」
「疲れてるんだな、俺。幻覚が視えるし、幻聴が聞こえる」
「現実を受け入れようよ、五十嵐くん」
「アスカさんと大貴さんの番は、もう終わったの。あとは翔さんの番を残すのみよ。大トリ、千秋楽、クライ・マックス」
「知ってるか、山内。渋谷駅で線路の切り換えが行なわれる関係で、十一月に数日間、銀座線の一部区間が終日運休になるらしいぞ」
「無視しないで、ユウコ・ミュージカルに付き合ってあげなよ」
「鉄道といえば、池袋に二階建ての路面電車を走らせる構想があるそうよ。カモン・ジョイナス」
「パーティーのような盛り上がりになってるのは、何故なんだ? 鮮やかな色の茸でも食べたのか?」
「それについては、何とも言えないよ。僕がここに来る前から、この張りきりようだったんだ」
「さぁ、翔さん。この封筒を紐解くのです。ヒュー」
「黛は、劇の練習か?」
「衣装の採寸だって。――逃避できるものでは無いから、サクッと済ませちゃってよ」
「選ばれし勇者よ。古より伝わる予言の書を受け取るが良い」
「ありがたく、ちょうだいします。――アール・ピー・ジーをさせられてる気分だなぁ」
「新たな伝説が始まりそうだね」
「役目を果たしたところで、図書室に戻ります。ごきげんよう。バーイ」
「……ハァ。嵐のような時間だった。――結果を公表したほうがいいか?」
「お好きなように。ちなみに、僕と黛さんは、お互いの結果を知らないよ」
「それなら、俺も秘密ということで。――あぁ、そうだ。明日、模擬店の買出しに行かなきゃならなくなったから、クラブは休むことになりそうなんだ」
「そうなんだ。ウゥン。僕も、明日は天象儀の試運転があるから、こっちには顔を出せないと思うんだよね」
「あぁ、そうか。二組は、教室プラネタリウム計画が進んでるんだったな」
「黛さんも、明日は台詞練習らしいんだよねぇ」
「そうなると、途中で脱け出す訳にもいかないだろうな。仕方ない。明日は、活動休止にしよう」
「そうするしかないね。黛さんには、帰りに僕から伝えておくよ」
「明日は来ないつもりだろうけど、よろしく。――鞄があるところを見るに、採寸が終わり次第、一度ここに戻ってくるつもりのようだな」
「そのつもりなんだろうけど、なかなか戻ってこないんだよねぇ」
「ギリギリに飛び込んでくるだろう。先に始めようぜ」
「そうしようか。時間が勿体無いものね」




