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#025「ロジカル・シンキング」

「ユウトくんは、プログラミングで」

「遥ちゃんは、ダンスと水彩画を習ってるのね。それじゃあ、あれはダンスの帰りだったのかしら?」

「そういえば、このあいだは、髪の悩みの相談に乗ったそうだな」

「地がパーマっ気のある焦げ茶の髪だから、学校で、生徒指導の先生や女子の先輩から目を付けられてるって話だったわ」

「それで、変なことを吹き込んでくれたようだが?」

「中途半端に薄いから気になるのかと思って、いっそのこと金髪にしたらって言っただけよ。あたしの両親に頼んであげても良いし。金が嫌なら、緑や紫でも」

「あのなぁ。そういうときは、普通に黒染めにする方法を教えるもんだ」

「それじゃあ、面白くないじゃない。――そうそう。聞いたわよ、翔。キタキツネ虐殺事件」

「そんな凄惨な事件は起こしてない。植え込みを越えて逃げようとした狐目の空き巣を、持ってたプラスティック製バットをフル・スイングして気絶させただけだ。ったく。遥も遥だ。ロクなことを言わない者同士だな」

「一撃昇天の怪力小学生、五十嵐翔」

「まるで、スクープ記事の見出しだね」

「山内!」

「いつの間に戻ってきてたのよ?」

「黛さんの弟くんがプログラミングを習ってるってくだりから」

「気配を消すのが上手すぎて、ちっとも気付かなかった」

「扉は開けてあるんだから、さっさと入って来なさいよ」

「壁に耳あり、ジョージにメアリー。立ち聞きしてたのは、僕だけじゃないんだ」

「他人の話を最後まで聞かないクイズ大会出場選手に、問題文を斜め読みする受験生。野次を飛ばす政治家に、出演者に肉体的または精神的な苦痛を強いるバラエティー番組。礼儀正しい日本人とは、山高帽をかぶる英国紳士や、辮髪の中国人みたいな幻想に過ぎないものなのかしら」

「出た」

「裕子さん!」

「今日は興味深いものを持って来たんですよね、斎藤先生」

「いきなりだけど、我が放送部開設以来初の試みを行います」

「嫌な予感しかしない」

「小脇に抱えてるクリア・ファイルの書類が気になるわね」

「目敏いね、黛さん」

「良い着眼点だわ、アスカさん。模試の偏差値だけが、頭の出来を測る物差しではありません。それを証明するために、これから皆さんの論理力を測定したいと思います。――はい、これを受け取って」

「アイ・キュー・テストみたいなものか」

「面白そうだけど、難しそうね」

「終わったら素敵なご褒美があるらしいから、一緒に頑張ろうね」

「一人一部ずつ行き渡ったわね。それでは、レディー・ゴー!」


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