#001「バナナは、おやつに」
「遅いわね、翔」
「三組は、ホーム・ルームが長いよね」
「六組も、たまに遅くなるけど、二組は、いつも早いから良いわね」
「要点だけでサッと終わるから、助かるんだ」
「悪いな。ありがたい説教を聞かされてた」
「おー、そー、いー」
「五十嵐くんのせいではないんだから、仕方ないよ」
「時間が、もったいないから、早速、報告する。俺からは、国際関係の情報だ。残業を減らす制度を取り入れた企業が、軒並み業績を上げてること、成人した子供の不祥事に親が謝罪するのは、海外では理解されない日本の古臭い習慣だということ、地震発生から七十二時間が迫り、イタリア各地で懸命な救助作業が続いていることの三点だ。本当はテロについても加えたいところだが、政治と宗教に関する情報はエヌ・ジーだから差し控える」
「フランスでは、肌を覆う水着の着用が禁止されるらしいけど、取り上げられないわね」
「デリケートな問題だもんね。僕からは、科学に関して二点。四光年先に、地球に似た惑星が発見されたことから、米国が探査機の打ち上げを計画しているという情報と、東京の大学で、ひとりでに動く特殊な油が発見されたという情報があるよ」
「ほぉ。地球外に移住するようになる日も、そう遠い未来ではなさそうだな」
「これからの研究に、期待が高まるわね。わたしからは、グルメに関して。コンビニで売られている、お米や小麦以外の穀物で出来た低カロリーなパンが、ダイエッターの人気を集めているという情報と、和菓子屋さんが本領を発揮したカキ氷に、連日、行列が出来ているという情報、地域によって料理の食べかたが違うという情報の三点よ」
「今日も、八点か。五十嵐くんと僕の話は詳しい説明が必要だから、黛さんから話してよ」
「そうだな。今日は身近な話題から入ったほうが良いだろう」
「そうね。あたしの国内話から始めて、翔の国際話に広げて、大貴の宇宙話に繋げると良さそうね」
「話の規模が大きくなる方向で進める訳だね」
「決まりだな。それじゃあ、持ち場について準備を始めよう」




