#018「ルーティン・ワード」
「数学が出来ないと、借金や投資の甘い罠に引っ掛かるらしいね」
「楽して儲かる夢のような話に乗せられて、詐欺だと気付いた時には手遅れなのよね」
「本当に美味しい話なら他人に話すはず無いとは、すぐに分からないものなんだな」
「結局、集団に帰属して地道に稼ぐのが、一番リスクが少なくて手堅い方法といえそうだね」
「でも、そうしたことに物足りなさや窮屈さを感じるわよね。何故なのかしら?」
「個人の失敗が薄まる反面、成果も薄まってしまうからじゃないか?」
「反対に、そうした組織の微温湯に浸かりきって慣れてしまうと、無責任で無気力な人間が出来上がる訳だけどね」
「有能な人間から抜けていって、どうしようもない人間が残ってしまうのね」
「そして、独力での運営続行が困難になるという結末が待ってる」
「人間味のあるロボットの話から、ずいぶん飛躍してしまったね」
「手の平サイズで丸みのあるデザインが、小動物みたいで可愛らしいという話だったわね」
「それから、膝を曲げずに二足歩行をするという話になって」
「アイデアを形にするには、時間と費用がかかるって話から、日本の国公立大学の研究開発に支払われている助成費が安すぎるって話になって」
「生活が困窮すると、ついつい怪しい投資話に耳を傾けてしまうって話になったのよ」
「景気の悪い話が一段落したところで、明るい話に移ろう。山内、よろしく」
「はい。アムラタマゴノキというウルシ科の植物が、カカオ豆の減少によるチョコレート危機を救うかもしれないという情報と、絶滅危惧種リストからパンダが外されたという情報が入ってます。チョコレート製品の値上がりや内容量の減少に、人一倍に心を痛めていた誰かさんには朗報だね」
「だって、ここ最近、板チョコのブロック数が減ってるんだもの」
「早く実用商品化されると良いな」
「パンダに関しても、何かコメントしてよ」
「動物園の人気者が、絶滅から遠ざかって一安心ね」
「熱心な保護活動が実を結んだんだろうな。――最後は、都市化による湿度低下の影響で、京都で霧の発生が減少しているという情報について」
「日照量が増えたり、交通事故が減ったりするから、地元民の日常生活には嬉しい話なんだけど、栗や黒大豆や小豆の生育には好ましくないらしいんだよね」
「丹波特産の味が落ちないように、大型冷蔵庫を購入した農家もあるそうよ」
「自然現象の変化には、メリットとデメリットがあるものだよな。――おしまいは、かの有名な短歌で締めてもらおうかな」
「村雨の、露もまだ干ぬ、真木の葉に、霧立ちのぼる、秋の夕暮れ」
「ここまで、放送部がお送りしました。それでは、また明日」
「さよなら」
「ごきげんよう」




