#017「見ざる、聞かざる」
「どのドラマも終盤に突入してるみたいだな」
「初回と最終回で特番を組むから、年々レギュラー放送の期間が短くなってる気がするわ」
「それだけ通常放送が退屈だってことじゃないかなぁ。――十月の改変で、いくつかの番組が入れ替わるみたいだね」
「平日の深夜に放送していた番組を休日の夕方に放送しても、視聴率は上がらないと思うけどなぁ」
「ゴールデン枠って発想が古いわよね。週末に卓袱台を囲んでテレビを見る家庭が、それほど多いとは思えないわ」
「家族バラバラで食事を摂っていたり、そもそもテレビを見なかったりしてる家庭は少なくないよね」
「単身世帯も増加傾向にあるもんな」
「もうテレビは、御役御免だと思うわ」
「一方的に送られてくる情報を受け取るんじゃなくて、自分から必要な情報を選ぶようになってるものね」
「こういうことを言うと、若者のテレビ離れが深刻だって騒がれるんだよなぁ」
「オッサン、オバサンの小言には、ほとほと嫌気が差すわ」
「中高年の全員がそうだとは言わないけど、周囲から嫌われる特徴があるよね」
「説教、昔話、自慢話をする」
「他人の話を聞かない、物忘れが酷い、声や態度がデカイ」
「流行や最新機器に疎く、ビールや煙草、餃子やラーメンが好き」
「近頃の若者は情けない。我々の若い頃は、こうだったと言われてもなぁ」
「だから何なのよって感じよね」
「ひとこと言わないと気が済まないんだよ」
「下手に指摘すると、変に開き直って怒るし」
「困った人たちよね。――報告に移るわね。あたしからは、加熱するとベーコンそっくりな味がする海草についての情報と、簡単に調理出来るのにオシャレで美味しいと評判のスイーツについての情報の二点よ」
「僕からは、最近、外来語を当て字にした四股名が増えているという情報と、一人でも楽しめる遊興施設の情報の二点だよ」
「俺からは、日本がテロ対策に本腰を入れつつあるという情報と、スメル・ハラスメントを巡っての度を越してた対策に、弊害が心配されているという情報の二点だ」
「見事に分かれたわね」
「阿弥陀籤でも作る?」
「あらかじめ決めること無いんじゃないか? ここまで脈絡が無いなら、誰から話しても一緒だ」
「そうね。その場の話の流れに任せましょう」
「僕も賛成」
「よし。それじゃあ、準備するか」
「今日は、誰にも邪魔させないわよ」
「この前は、途中で切り上げなきゃいけなかったもんね」




