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#015「唐突な教員会議で」

「二人組みが窓際に横長の座席がある電車に乗った時、隣同士で話すのは日本人に、向かい合わせで喋る外国人に多い気がする」

「言われてみれば、たしかに、そういう傾向がありそうだな」

「声の大きさに比例しそうね。そうそう。誰かと喋ってるときに、この話、前にもしたような気がするって思うとき、ない?」

「デジャブみたいなもの?」

「初めて話すはずだとすれば、そういうことになりそうだが」

「ウゥン。そういうことではないのよ。一度、最後まで見た動画が、もう一度、途中から再生されてるような感覚なんだけど」

「わかるような、わからないような」

「俺には、さっぱり」

「わからなかったら良いわ。特に翔には、乙女の繊細さを理解できるとは思ってないから」

「あっ、そうだ。昨晩にスーパーで妹さんに会ったんだ。お兄ちゃんは感情の機微がわかってないって言ってたんだけど、何かあったの?」

「まだ、あのことを怒ってるのか」

「また無神経なことをしたんでしょう? ホントに、しょうがないわねぇ」

「何も言わないうちから決め付けるのは良くないよ、黛さん。――それで、どうなの?」

「この前、遥が、同級生だという男子生徒と親密そうにしてたから、彼氏かって訊いたんだ。そうしたら、俺には関係ないって言うんだぜ?」

「身内から、彼氏は出来たかとか、一緒に歩いてたのは彼氏かとか訊かれると、ウンザリされるわよ。過保護も、ほどほどにしなきゃ駄目よ」

「彼女いるかと訊かれて、いらないとか、脳内にいるとか答えたら、何も言われなくなったけどなぁ」

「おばあさんを心配させるようなことをいうなよ、山内。それから、しょっちゅう弟と喧嘩してる黛には言われたくない」

「弟や妹は、頭痛の種ね」

「僕は一人っ子だから、そのあたりは共感できないなぁ」

「さて。そろそろ報告に移るぞ。俺からは、景気の先行きの不透明さから、企業の内部留保が増えているという情報と、あの有名アニメの入浴シーンが、児童ポルノに該当するのではないかとして規制の対象になり、水着の着用した姿で描かれるようになったと話題を呼んでるという情報の二点だ」

「かもしれないとか、おそれがあるとか言ってたら、何も楽しめなくなってしまうのになぁ」

「いざ仕事がなくなっても、ちゃんと行政が面倒を看てくれるという信頼感があれば、安心してお金が使えるんだけどねぇ。――僕からは、いつかは行ってみたい、抜群の雰囲気を誇る高級料理店の情報と、歴史の風情漂う、京都にあるレトロな銭湯の情報の二点だよ」

「毎日通うとなると面倒だが、たまに風呂屋に行くと寛げるよな」

「何とも年寄り臭い発言ね、翔。――あたしからは、簡単に出来る毛穴ケアの情報と、むくみを解消できる飲み物の情報、それから、絶品なのに全国販売はしていない、ご飯のお供に関する情報の三点よ」

「美容とグルメの情報だね」

「誰が年寄りだ、黛。――グルメ関連で黛から山内に繋いで、風呂関連で山内から俺に繋ぐのが自然な流れだな」

「そうね。それが妥当な線だわ」

「今日は珍しく時間に余裕があるね」

「ホーム・ルームが早く終われば、ゆっくり準備できるから良いな」

「いつもサクサク終われば良いのにね」

「でも、職員室で何を話し合ってるか気になるね」

「急に臨時会議を招集しなきゃいけないような何かがあったことは、間違いないもんな」

「最後まで放送できると良いんだけど」


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