#014「クラスが違うと」
「あの伝説的長寿マンガが四十年の歴史に幕、だとさ」
「一階も休載することなく単行本は二百巻を数える、か。凄いね」
「四十年前のあいだに、世の中は大きく変わったよね」
「石油危機、プラザ合意、消費税導入、冷戦終結、バブル崩壊、ユーロ誕生」
「公民図説より、だな」
「連載当時から、ほぼ同時代の日本人の暮らしをありのまま記録したものとして、民俗学的価値も高そうだよね。あっ、黛さん」
「ごめん、ごめん。遅くなっちゃったわね」
「ずいぶん長引いたんだな」
「間に合って良かったよ」
「早速、報告するわね。あたしからは、南国の一風変わった果物と、意外と高カロリーな果物についての情報と、誰もが一度はあったら良いなと夢見たことを形にした、便利グッズについての情報の二点よ」
「どういうグッズかは知らないが、きちんと言葉で説明できるものなんだろうな?」
「念のため言っておくけど、ジェスチャーと擬音だけではリスナーに伝わらないからね?」
「えぇ。前みたいな失敗はしないわ。翔からは?」
「俺からは、サッカー界の、いわゆる中東の笛に対してだが、誤審を防ぐための今後の課題が出揃ってきたという情報と、五輪のメダリストへの贈呈品に関する情報の二点だ」
「中東の笛という言いかたは気に食わないんだよねぇ。得点を帳消しにされただけじゃなくて、ペナルティーを見逃されて有利になった場面もあるという意見もあるみたいだし」
「その辺は、放送内に議論しましょう」
「それで、山内からは?」
「僕からは、医師や刑事やタクシー運転手、それから航空業界や百貨店業界で使われてる隠語についての情報と、台風による気圧の変化に伴って発症する病気についての情報の二点だよ。あとは話す順番だけど」
「時間が無いと思って、プリントで籤を作ってきたの。一枚引いてちょうだい」
「俺は、これ」
「僕は、こっち」
「それじゃあ、開いて」
「俺は、最後だ」
「僕が最初だから、黛さんは二番目か」
「さぁて。それでは、オン・エアー!」




