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#013「立腹と空腹」

「開くタイプと、押すタイプと、引くタイプがある」

「自動だったり、手動だったりする」

「片方だけのものもあれば、両方にあるものもある」

「ドアや窓には、いろんな形と動作があるもんだな」

「普段は意識してないけど、調べてみると存外に奥深いものだね」

「レポートの研究対象として、結構、面白いと思って――これ、ありがとう。返すのが遅くなってしまったわね」

「ん? あぁ、あの有名少女マンガの番外編か」

「スピン・オフ作品でね、本編は甘酸っぱい初恋を描いたシリアスな作品だけど、こっちはギャグ満載のコメディー作品なんだ」

「歯の浮きそうな台詞や背中がムズ痒くなるような絵が無いから、翔でも読めると思うわ」

「そこで俺を基準にするんだな」

「意外と内面が繊細なのは知ってるけど、見た目がワイルド系だもの」

「肉食系野生児、五十嵐翔」

「テレビ・タレントみたいな、変なキャッチ・コピーを付けるな」

「タレントの評判って、いかにも紋切り型の出来事を見逃さずに取り上げる癖に、イメージにそぐわない例外を取り上げないマス・メディアに、印象操作されてるせいかもしれないけどね。こういう見た目の人間は、こういう言動をするに違いないっていう思い込みが原因だけど」

「ラベリング論っていったかしら? どこかで聞いた覚えがあるわ」

「以前に、山内が説明したからな。ステレオ・タイプは、意図的か無意識の集合かはともかく、作られたものが多いものだよな。――野生といえば、アライグマによる被害が増えているそうだ」

「日本には天敵がいないから、繁殖し放題なんだよねぇ」

「可愛らしいキャラクターとは裏腹ね」

「かの名作アニメが原因かもな」

「あのキャラクター名は、直訳すれば悪党という意味だけどね」

「ヘェ。よく出来てるわね。――ワシワシ」

「おい、黛。山内の髪で遊ぶな」

「急に、どうしたの?」

「サラサラだから、つい」

「退屈なのは分かるけどな。――高価な整髪料でも使ってるのか?」

「黛さんの前で言うのも憚られるんだけど、洗髪剤を何も使わずに、お湯だけでシャワーすると良いんだよ」

「シャンプーやリンスが売れなくなるから認めたくないけど、洗い過ぎがダメージを与えることは間違いないわ」

「物臭な人間のほうが、かえって美容や健康に良いのか?」

「何事も、過ぎたるは及ばざるが如しだよ」

「バランスが難しいものなのよ。あたしの親も、毎年パーティー・シーズンになると、前回と同じスタイルでコーディネートしないように気を配らなきゃいけないけど、その場に相応しくない奇抜なものになってはいけないから、いつも以上に頭を使うって言ってるし」

「何で、毎回毎回、違う格好をしなきゃいけないんだ?」

「いつ、誰が、どんな髪型や服装をしていたか細かく覚えてる陰険で抜け目無い人物に、陰で何を言われるか分からないからだよ」

「大変だし、面倒なのものなのよ。その点では、制服のほうが楽だわ」

「そういう悪口好きは勝手に嫌われて行くから、気にしなければ良いじゃないか」

「コミュニティーの規模が大きくて、構成員の入れ替わりが自由ならね」

「流れる水は濁らないけど、溜まった水は汚れるものね」

「水害には悩まされるよな。津波や台風だって、そうだ」

「天災は非情だよね」

「五年半前の震災から、ようやく復興し始めたところなのにね」

「こういうときに槍玉に挙げられるのは、決まって政府の対応だよな」

「そうでなくても議論しなきゃいけない課題が山積してるのにね」

「そういえば、ジー・ディー・ピーを巡って議論になってるらしいんだけど、何が問題なの?」

「政府が算出した支出額と、中央銀行が提示した所得額とで、統計データに開きがあるせいで、景気が良くなってるのか悪くなってるのかの判断が真逆になってしまってることが問題視されてるんだ」

「三面等価の原則を外れてるからだよね。所得と支出と消費は必ず同じになるはずなのに」

「受験勉強してる気になってきたわ。そうだ。素朴な疑問なんだけど、何で受験は、年に一度、複数科目を同時に、全員一斉で受けなきゃいけないのかしら? 教科別に毎月、好きな科目を受験できて、三年掛けて徐々に受験資格を獲得することが出来れば良いと思わない?」

「検定や免許みたいなシステムにする訳か。なるほど。それなら、受験レベルに達している得意科目を早く終わらせることが出来て、苦手科目に専念できるな」

「黛さんは、単方向の講義形式の授業より、双方向の実習形式の授業が向いてそうだね」

「疑問が次々に湧くから、じっと聞いていられないのよ」

「頭の回転は早いのに、学校成績は良くないタイプだよなぁ」

「何だか、もったいないよねぇ」

「それにしても、まだ電車は動かないのかしら?」

「教員が誰も運転を再開したという知らせを持ってこないから、まだ時間が掛かるんだろう。運行距離が長かったり、相互乗り入れが多かったりすると、思わぬ僻地のトラブルで運休になるから嫌になるな」

「今月は何回あるんだろうね。野生動物の線路内への立ち入り」

「狐、狸、猿、兎、鹿、コアラ、羊、牛、象、狼、虎、豹、チーター、ライオン、ペガサス、ドラゴン」

「途中から、十二支が混ざってないか?」

「占いも一緒になってるね」

「暇だし、帰れないし、お腹空いたぁ」

「そう、叫ぶなって」

「退屈だよね。何か小腹を満たすものを買ってくるよ」


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