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幼馴染が家族になったのだが  作者: あるみホイル
4/6

文化祭とは青春

文化祭。

それは青春には欠かせない行事。

それはリア充には欠かせない行事。

つまり俺にとって文化祭とはモテモテなリア充を謳歌するために必須とも言える催しなのだ。

文化祭で必ず提案される出し物と言えばメイド喫茶やおばけ屋敷、クレープやたこ焼きに焼きそばなどが上げられる。どれも定番な出し物なだけに需要もかなりある。

おそらくメイド喫茶はダントツに需要のある出し物であろう。滅多に、いや今後一切見られないであろうクラスメイトや同級生のメイド姿は感慨深いに違いない。もちろん俺も見たい。

が、しかしだ。何がどうなってこうなった!?俺がちょっと寝てる間にとんでもない方向に進んでるじゃねーか!!

黒板に書かれているのはメイド喫茶でもおばけ屋敷でもクレープ屋でもたこ焼き、焼きそばでもなく俺は唖然とした。


《演劇》


え、演劇ねぇ。

いや、別に演劇が悪いってわけじゃないがなんで演劇なの?

まぁ俺は当然裏方をやらしてもらうがな。

「えーでは、演劇に決まりましたので役決めをしまーす。立候補したい人いますかー?」

ま、当然誰も立候補しないわな。いや俺もしないよ!

「はーいでは、立候補がないので私的に決めさせてもらいまーす。えー主役は……柏田君お願いしまーす。えー次は……」

……はい?

僕……ですか?え?僕なんですか?いやいやちょっと待て!

「ちょっ……」

いや待て俺。最近ネット見たんだがギャップ萌えというのがすごく好評らしい。つまりザ・クールが皆に定着しつつある今、あえてザ・クールを壊すように劇を演じるというのもありかもやしれん。つまりギャップ萌えだ。

「どうしましたか柏田君?」

「いや、なんでも」

きた。ついにきたぞこれは!かっこ良く役を演じ、俺の熱狂的なファンを増やすこれとない大チャンスだ!

ふっ、さすがだな学級委員長。分かってるじゃないか。

「はい。では全ての役決めが終了したので文化祭の出し物は演劇ということで皆がんばろー!」

「「「おぉぉぉぉ!!!」」」

お〜。がんばりまーす。

まぁ予想外の連発だったが災い転じて福となす。だな。

「よーし終わったし帰るかー」「しゃー!文化祭やったるでー!」「楽しみだね〜」

さて俺も帰るか……

「あ、柏田ー」

「んー?」

教室を出ようとしていたとこで後ろから声をかけられ振り返ると、ヤル気の無い顔で呼び止める奴がそこにいた。

「柏田主役だからさ色々大変だな」

「あぁまあ、別に」

実際めんどくさい割合の方が高いが期待している割合もそこそこにある。

練習は当然するだろう。でも演劇の練習をする時間は授業中じゃとれない。つまり練習する時間は放課後しかないということだ。

嫌だなぁ、早く帰ってネトゲしたい。

「ていうかさ、柏田がいない間にさ学校の前にたこ焼き屋できたんだぜ、どうだ一緒に?」

たこ焼きか、好きだ。どれたこ焼きにはうるさい俺がご賞味してやろう。

「おぉいいぜ」


「ここ、ここ!」

うむ、佇まいはそれなりだな。やはりなんでも基本は外見で決まる。

例えば、リーゼントでサングラスしてキラキラしてるジャージとか着てたら誰でも不良と見るだろう。だが中身は気弱でIQ150ぐらいあって勉強がむちゃくちゃできて、人当たりが物凄く良い。って事はそうそうないだろ。

つまり外見はその人や物の印象を決める重要なステータスなのだ。

「おじさん、たこ焼き二つ!」

「はいよ!」

とまぁ、看板に大きくたこ焼きと書いてある店なんだが、ふと思った。

それはこの店主……絶対狙ってる。

何がと言われれば店が建っている位置だ。

これは明らかに高校生、しかも三島高校の奴らをターゲットにしているに違いない。だって高校の目の前なんだぜ?しかも最近建てられたらしいし。

値段も高校生が一歩がんばれば買えるぐらいだしこれは明らかに狙ってる。

「はい、たこ焼き二つ」

「じゃこれで」

「へいまいど」

店主も固そうな人ではないようだ。狙ってるなこれは。

「あ、金……」

そういえば俺のたこ焼き代を出してなかったな。

「ん?いーよ、いーよ!今日は俺の奢りで」

「そ、そうか……じゃありがたくいただく」

たこ焼き屋のすぐ後ろに遊園地によくある白くて円形の机にたこ焼きを置き深く椅子に座る。

「冷めないうちに早く食べようぜ」

いや、夏だからそんなに直ぐ冷めたりしないだろうが、それに俺は猫舌なんだよ。まぁ奢ってもらってるからな。ここは一応従っておくか。

ん?待て、俺は別に奢ってもらう予定ではなかったぞ。

俺は誘われてここまで来て、それでも自分のたこ焼き代は自分で出すつもりだった。でも彼が奢ってくれると言ったから奢ってもらった。

つ、つまり彼に従わなくても……いい。はずだ。

「あ、俺猫舌だから少し冷ましてから食うわ」

って、もう食ってんのかよ!

「んふ?ひょ〜ふぁい」

たこ焼きか……あっちにはたこ焼き屋なんてなかったからな。一番栄えていた店は駄菓子屋だ。

よくガキ共が店の前を占領してて中々入りずらかったな。

あぁ、あの駄菓子屋にあった、きな粉棒食いてぇな。

「あれ?あんたいたの?」

後ろを振り返ると天災こと峯岸沙羅がぶっきらぼうな顔でこっちを見ていた。

「いちゃ悪いか」

「別にー、私に話かけなかったらあんたがどこに居ようと関係ないし」

「いやいや、今確かにお前から話かけてきたくせによくそんな事が言えるな」

「……うっさい」

全く、俺と仲良くしたいのか仲を悪くしたいのか分からん奴だ。まぁ多分このパターンは仲良くしたいが恥ずかしくて毒を吐くようにしか会話できないツンツンキャラなんだろう。

ふっ。でもな峯岸沙羅よ。

実は現実ではツンデレは需要がないんだよ。

そりゃごく一部にはツンデレを欲している奴もいるが大概の奴はリアルにツンデレされると引くんだよ。

ツンデレはツンの方が割合が圧倒的に高い。だから割合が高いツンより割合が少ないデレはギャップというかたまにしか見れない貴重な姿だから良い。だ〜が!それは二次元、アニメの世界だけなのだよ!

リアルにツンデレされると「俺、嫌われてるんじゃ?」と誤解される。

つか、狙ってるだろツンデレとか。

「柏田と沙羅ってホント仲良いよね」

気づかなかったが峯岸の後ろにもう一人いたようだ。いや影が薄いってわけじゃないんだぞ、ただ視覚的に見えなかっただけだ。

「はぁー!?私がこいつと!?ないない、それないから!」

峯岸、否定の仕方があからさまだぞ、そこは大きな声ではなく引く唸るような声で否定すると効果は抜群だ!

「えー?だって沙羅って他の男子には結構優しいじゃん。でも柏田と話してる沙羅はすごく自然な感じするってゆーか、柏田と話してる沙羅がホントの沙羅って感じするもん」

そうそう。よくわかってるじゃないか、え〜と誰だっけ?

「違うって麻楜(まこ'!ホント違うから!」

麻楜か。覚えておこう。

「あー沙羅顔真っ赤〜」

麻楜か。どこぞの小悪魔系読書女とキャラがかぶるな……ってなんかよく見れば顔がくりそつじゃねーか!

「あ、あの、麻楜さんでいいかな?」

疑問は解決しないと気分が悪いってのが人の性分だ。もちろん俺も含まれる。

小悪魔系読書女ver2いや(仮)がキョトンとした顔でこっちを見る。

「麻楜さんってもしかして姉妹とかいる?」

「……はい、いますけど」

やっぱりな。顔、声、身長、体つき。全てが小悪魔系読書女とかぶる。

「もしかして双子?」

「……」

なんだよ!その溜めは一体なんなんだ!

「正解ですっ」

んだよ、無駄に溜めるな。変な汗出ちまっただろうが。

「ちょっと麻楜(まこ)こいつに個人情報教えないほうがいいって!」

ふむ、小悪魔系読書女(仮)改め、麻楜。

美楜(みこ)麻楜(まこ)か。親もこれは狙ってるな。いやまだあの小悪魔系読書女の双子と決まったわけではないが。

「もしかして美楜さんの?」

「はい、そうです!美楜は私の姉になります」

双子揃って小悪魔系かよ。親は一体どんな性格していることやら。

「帰ろ麻楜」

「うん。バイバイ柏田!」

「おお、バイバイ」

妹は姉と違って元気キャラだが小悪魔。姉は妹と違って冷静キャラだが小悪魔。……需要あるなこれは。



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