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蛇足

 エリオットの愛が深まり、以前にもまして熱い視線を頂く事と相成りました。その度にドキドキしてしまうので非モテ女子は困るぜ。しかし最近困った事がある。エリオットの嫉妬である。


「だめです。ヴェスタくんと喋らないでください」


 むぅ、と唇をとんがらせてダダをこねるエリオットが物凄く可愛くて鼻血がでそうでした。嫉妬可愛過ぎワロス。

 ちなみにヴェスタくんと言うのは最近第三騎士団の期待の新人だった。16歳という若さで養成学校首席で卒業した強者、すらっとした体の割にはかなり力が強いらしく、コンラドさんも感心している。その子……実は凄くイケメンなんですよね。

 エリオットが綺麗だというなら、ヴェスタくんは恰好良いタイプ。勿論こっちの世界では両方モテない顔なのだが、持ち前の明るさや実力で、ある程度女の子にも声を掛けられる強者だったりする。

 まだ幼さが残っているから可愛くてあどけない感じで、明るい。もうお姉さんとして構いたくなるのは当然だった。

 そしてエリオットの前でついポロッと言ってしまったのだ。


「ヴェスタくんって恰好良いよね~」


 と。他意はなかったんや。弟だったら自慢出来そうだな、という感じで。別に異性としては見てはいなかったんや。そんなふくれっ面にならないでよエリオット。その顔可愛いだけなんだけど、誘ってんの?いや、ごめん。


「いや、あのね。エリオット……」

「や。です……近寄ってはいけません」

「……っ」


 「や。です」「や。です」なんだそのセリフはぁああああ!!狙ってんだろ!エリオットがあざとすぎてつらいよ。主に理性を押さえる意味で。エリオットから見てヴェスタくんはモテないタイプなので、私から見るとモテると判断したようだ。ヴェスタくんを睨みつける日もある。


「ごめんよヴェスタくん、私のせいで……」


 巻き込んだヴェスタくんに謝る。気が緩み過ぎてエリオットに余計な事言っちゃったよ。まぁ、嫉妬してるエリオットも美味しいんですけどね。や、ごめん。反省してるよ、ほんと。


「いえいえ!団長様が心配されるのも分かりますって!だってこんなに綺麗な人ほかに見ませんし!それに俺みたいな下っ端にも気軽に声掛けてくれて優しいし!」

「……」


 やっぱりヴェスタくんから見ても私はモテるのですねぇ……。ふぅ、と息をつくと、何故かちょっと目を泳がせて頬を赤らめるヴェスタくん。


「ヴェスタくん?」

「う、申し訳ないです」

「……?」


 白と黒でまだら模様になっている耳をしゅんとさせている。


「いえ、その……あながちその心配も間違ってない所が凄いです」

「え?」

「なんでもないです!」


 小さい声でぼそぼそ呟いたので聞き返したが、ブンブン首を振られた。なんて言ったんだろう、と少し首を傾げつつヴェスタくんと話す。

 しばらく和やかに話していたんだけど、どこからふって沸いたのだろう……目の前にエリオットが現れた!本当に突然現れたんだけど、どうなってんの。流石スピード隊長だよ。


「ユリに話しかけるな」

「も、申し訳ありません!」


 おお、敬語じゃないドスの効いたエリオットボイスだ!録音機能があるならぜひともとっておきたい至高の声である。

 ムッとした顔で私を睨むんだけど、それがまた綺麗なんだよね。女性用シャンプーで銀色の髪に輝きが増して本当につやつやなんだよ。まじで。なんで私より綺麗なんだよ、このやろう。

 どうにもエリオットは、モテる為に伸ばしたんだと。髪って伸ばすと痛むから、ごわごわした艶なしモテモテヘアーになるらしいよ。男性用のシャンプーでもエリオットの髪は痛みにくく、私と出会う前は涙目だったらしい。今では開き直って綺麗にしているみたい。理由は言わずもがな。私が喜ぶからだそうだ。……甘い!あっまあまだよエリオット!なんでそんな私を喜ばす事ばっかしてんの!?これは襲われても仕方ないよね、うん。

 たまらず嫉妬中エリオットに後ろから抱き付く。


「うふふ~エリオット~」


 やばい、好き過ぎる。スリスリして良い香りを嗅ぐ。因みに私は匂いフェチ、声フェチ、うなじ好き、イケメン好き、もふもふ好き、エリオットフェチだ。もうエリオットなしでは生きていけない体にされてしまいましたよ。エリオット、恐ろしい子。


「ゆ、ユリ。人前ですよ」

「おう……すまぬ。エリオットが好き過ぎて、つい」


 エリオットは恥ずかしそうにしつつも、機嫌がなおったようだった。ふふ、耳を背中に当てると心音が速いのが分かる。まぁ、走って来たからなのかもしれないが、私が触れているから速まっている、と自惚れても良いでしょうか?


「し、失礼します!!」


 顔を真っ赤にさせたヴェスタくんが逃げるように私たちから離れてゆく。若干涙目だった気がしなくもない。

 あ、ごめんヴェスタくん。君にはこのオトナな光景は目に毒だったね。すまぬ、すまぬ……己の欲望のままに動いてしまうのはもうちょっと抑えねば。騎士団長の恋人が変態だなんて噂されたら大変だもんな。

 まぁ、私は変態なので間違っていませんがね。


「ユリは、イケナイ人ですね……」


 私の拘束を柔らかく外して、振り向いてから抱きしめ直す。クス、と頬を赤らめて私の頭を撫でてくる。くぅ!このイケメンめ!なんという精神攻撃!

 しばらくそうしている内、エリオットがキョロキョロ周りを見る。

 人が近くにいない事を確認して、私の頬に触れてきた。優しく傷つかない様に触るのが、ちょっとくすぐったい。


「ユリ……ん」


 キラキラした銀色の騎士様が甘いキスをしてきた。何度もしているのに、慣れてこない。というかむしろ破壊力が増している気がする。それはエリオットも同様なのだろう、ウルウルと瞳を潤ませて顔を赤くさせている。


「ああ、好きですユリ。この気持ちが続く所か、日に日に大きくなっていくのが怖いくらいです」


 ぐはっ!クリティカルヒット!なんてこと言うのエリオット!しかもそんな甘い顔して、震える唇で言われたらさ……ああもうこの人は全く!


「私もエリオットが大好き!ほんともう幸せ!」

「ユリ……」


 私の返答に、瞳から涙が零れる。ああ、もう。可愛いなぁ。


 こんな幸せがいつまでもいつまでも続きますように!

ハッピーエンド!です!

近頃真剣にこの世界に行きたくなってる作者です。

短い話でしたが、読んで頂いた読者様、真に有難うございました!

また違う作品でお会いできると嬉しいです。ではでは。

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