霊界電話
最先端の技術であの世の人と会話出来る代物が開発された。その名も「霊界電話」と言うらしい。
そんな夢のような話を聞いたのが半年前。ちょうど最愛の彼女が亡くなって3ヶ月の時だった。
こんな都市伝説じみたものは信じたくなかったが、彼女の声が聞けるならなんだってしてやろうと思った。
例の「霊界電話」というやつはどうも青森にあるらしい。
しかも一回の利用料金が10分100万円とかなり破格ということ。
だから俺は必死こいて働いた。
来る日も来る日も朝昼晩までほとんど休まずに働きつめた。
身体の事なんて気にならなかった。
ただ、彼女の声が聴きたい。
それを支えにして無我夢中だったんだ。
それから半年で、もともとの貯金と合わせなんとか250万もの金を作ることが出来たのだった。
そして今。
俺は青森にある「霊界電話」の前に並んでいた。
事前に係員に俺の前には長蛇の列。後ろにも伸びている。
皆、これから思い思いの故人に連絡するのだろう。
皆一様に緊張した面持ちで並んでいる。
だが、俺だけは笑っていた。
遂に彼女の声が聴けるのだ。
彼女と話せるのだ。
笑いが込み上げて来るのも仕方ない。
待つこと四時間。
俺の前に並んでたやつの通話が終了したらしい。
嗚咽を漏らしながら足早に去っていった。
俺の気分は最高潮に達する。何を話そうか?
彼女は喜んでくれるか?
とりとめのない妄想を、己の中で繰り広げながら受話器に歩み寄る。
200万と引き換えに手に入れた彼女の番号用紙を手に。「プルルル…プルルル…、こちらは霊界電話サービスです。お客様のお掛けになったお相手は霊界におられません。まだ成仏していない可能性が―」




