表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
縄に絡まる 【翠2】  作者: 國村城太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/6

6話 縄に絡まれ

 縄床に向かう時に、抄妓しょうこさんが耳元で囁いた。

 

「癒しはもう充分でしょ?次は可愛がってもらっておいでね」

 

 私は恥ずかしいけど、「うん」と頷いて歩いて行く。

 

「そんなにあの二人くっつけたいの?」と小声で先生が抄妓しょうこに尋ねる。

 

「どうなるかなんてわかんないわよ。でも、ユキちゃんいい子だし、竜さんも憎からず思ってるのは間違いないしね。そろそろ竜さんも、次へ向かってもいいんじゃないかな?とは思ってるわよ」とつぶやく抄妓しょうこ

 

「そうだね。成り行きを見守ろうか」と二人を優しく見つめる城先生。

 

 ユキは竜の過去を知らない。何かよほどのことがあったのだろうとは思っているけども、無理矢理聞き出すものではない、そう思っていた。それに、誰かに聞くより、竜から話してほしいとも思っていた。

 

 竜と向き合って、手を差し出す。

 手をとって、後ろ手にまわす。片手で手を押さえられ、もう片手が後ろから胸の上を抱きしめている。後ろにまわされた手で、押さえてる手を触る。首の前にある腕に、顔を落としてそっと唇を腕に近づける。

 

 そーいえばあいつに唇あげちゃったなぁと思うと、上書きしたくて、竜さんの腕に口付けしてしまう。嫌がられるかなぁ?と思ったけど、そのままじっとしていてくれるので、私も甘えて、竜さんの腕を啄んでいた。

 

 もういいかい?というように竜さんがそっと口付けしてる側の腕を身体から離して、縄を取る。手首を縛られて、後手がはじまる。

 

 いつもより優しい縄。竜さんが気づかってくれる気持ちが伝わってくるようなそんな縄だ。いつもの縄はもう少し性的な気持ちを感じるけど、今日はそれを抑えているみたい。

 馬鹿のしてた縄みたいな刺激にはしった縄を今の私にしたくなくて、先生みたいな縄をしようとしていると感じた。竜さんは先生とは違うんだから、気にしなくていいのに。そう思った。

 

「いつもみたいに、竜さんの好きにしてほしいな」

 

 私は竜さんの顔が近くに来たときを見計らって、小さな声でそう伝えた。他の人には聞こえないように、こそっと。周りに聞かれたら流石に恥ずかしい……。

 

 ニヤリといつもの悪戯っ子な竜さんの笑顔が見えた。

 

 その後は、いつもの私が好きな、意地悪で私を気持ちよくしてくれる、いつもの竜さんの縄だった。

  

 引き絞られた縄が、ギリリと鳴る。俗に縄が鳴くといわれる音。縄と縄が擦れて出るこの音が私は好きだ。自分の身体に纏った縄からこの音が聞こえてくると、聴覚まで縄に支配されるような気がして、縄にさらに深く入れる。もちろん、その前に受け入れたい縄をしてくれていることは前提ですが。


 いつものと言ったけど、好きにしてと言ったからから今日はお尻を叩かれた。

 悪い事して、ごめんなさい。そんな気持ちになって…痛かったけど、嬉しいとも思った。不思議。

 

 竜さんの縄は、やっぱり気持ちよくて、こっそり逝っちゃったけど、竜さんに気づかれちゃったかな……。

 でも私はやっぱりこの縄が好きだ。そう思った。

 

 縄が終わって、私のそばで温もりをくれながら、縄を片付けていた竜さんに私は「ありがとう、竜さんの『縄』が大好きだよ」って伝えた。今は、これでいいやと思った。

 

 縄が好きになったから、自分でも縛れるようになってみよう、竜さんのそばで、竜さんに近づけるように、縄を覚えよう竜さんがどんな風に縛る時考えてるのか、自分でも理解してみたい。。そんな理由で縄をやってていいのかわかんないけど、先生や抄妓しょうこさんや、竜さん、素敵な人たちの仲間でいたい……そんな想いでいっぱいになって、やはり縄覚えたいと思った。

 

「先輩、縄のこともっと知りたいです。縛り方最初から教えてくださいね。ずっとそばで追いかけますので、可愛い後輩をよろしくですよ」とお願いしてみる。

 

「しょーがねぇなぁ、可愛い後輩だから、ビシビシ厳しく行くぞ」そう照れくさそうに言ってくれた。

 

「ホントに可愛いって思ってくれてます?」

 気になって尋ねる。

 

「可愛いから心配したんだろ。縄も学ぶのも良いけど、もっと男見る目も育てなよ」と憎まれ口を叩いてくる先輩。

 

 でもこの先輩が好きなんだよなぁと思いながら言い返す。

 

「じぃー、一応見る目あると思ってるんですけどね。この目の前にいる男って、どうなんでしょうかね」

 

「自分でどうこう言えんよ、抄妓しょうこさんにでよ聞いてみな。さぁ、そろそろ場所を開けよう。いくぞ」手を差し出して、立ち上がらせてくれる。

 慌てて立とうとして、勢いあまって抱きついてしまう。

 

「ご、こめん、わざとじゃないから」と言い訳してると。

 

「ハイ、そこ、縄床であんまりイチャイチャしないのよ〜。するなら場所空けてからね」と、明るい抄妓しょうこさんの顔が響く。

 

「「イチャイチャなんてしてません(してねぇ)」」と二人で顔を赤らめて、慌てて立ち上がった。

 

 縄床をあけて、竜さんの隣に座る。

 

「あの、いろいろ調べてくれたみたいで、ありがとうね」

 

「お、おう。深入りする前でよかったな。……(ほんと、よかった。)」竜は最後は聞こえないくらいの声で話す。

 

「ほんとに、よかったです。さっさと竜さんがお持ち帰りしてくれてたら、こんな心配もなかったんですけどぉ」

 

「はいはい、いい女がそんな事気軽に言わないの」

 

「また、そんなことばっかり言って……。いいわよ。竜先輩、しっかり縄おしえてくださいね。あ、手取り足取りしてくださいね」

 

「生徒さんには、みんな公平に丁寧に教えるよ。安心して習いにおいで」 


 

 次の教室から、私は縛る側で参加するようになりました。 

 居心地のいい、この場所と人が好きだなぁと、私はここに通い縄を今は習っている。

 竜さんは、教える時には厳しく教えてくれるし、縄をする時には今も意地悪で優しい。

 

 付き合ってる訳ではないけれど、一番優先してくれる受け手で、今は満足するしかないねと今は思って、今日も私はこの居場所……みどりに通っているの。

ーーーーー筆者より

これにて一旦ユキの物語は完結になります。

竜の過去とユキの恋心についてはまたきっとお伝えする話を用意したいと思っていますが、いますぐではなく、他の翠に集う別の物語を書いた後に、また必ず挑戦するつもりです。

よかったら、他のお話を読みつつ、お待ちいただければと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ